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Aが途方に暮れていると突如として無機質な白の世界にアレンと彼の師であり義父であるという赤髪の男が現れた。状況が変わったことに、アレンの姿が人目見れたことに安堵したAは現れたというよりスクリーンに映し出されたという方が近いような気がした。
「彼女と約束したんです、協力して少しでも役に立つって。だから今Aを祓われると困ります、魂も報われませんよ」
「……随分偉そうな口きくようになったじゃねぇか。言っとくがあいつは厄介だぞ」
何も無い癖に反響する空間でAはアレンの言葉を一言一句聞き漏らさないようにした。嬉しいと思った。例えそこに恋情がなくてもアレンに少しでもAを想う気持ちがあることが嬉しかった。ピリリと張り詰めた空気が伝わり少し身構えるが、赤髪の神父はやれやれと呆れたような表情で指を鳴らす。
「まあ、精々頑張ることだな」
――パチン!
骨が擦れた大きな音と共にAの視界には色が戻ってきた。いつもと同じ部屋、安堵の息を吐くアレン、さっきぶりのクロス・マリアン。夢ではない、現実に戻ってきた。何が何だか分からずしどろもどろに喋るAにクロスは鼻を鳴らしてソファーにふんぞり返って座るといきなりテキーラを煽り出した。何とも酒癖の悪い男である。
「おいガキ、年は幾つだ」
「……一応十六なんですけど」
「えっ僕より年上だったんですか?」
「ちょっとそれどういう意味」
ガキ呼ばわりされたAは心外だと言うように顔を顰めたが、それをクロスは豪快に笑い飛ばした。そういうところがガキなんだよって、どういうことだよ。
「日本の女はどいつも幼く見える、色気ってもんがねぇ」
「師匠、失礼ですよ。後飲み過ぎです」
「この女好き!変態神父!」
「大人の女の良さがつるペタガキにわかるかよ」
言い返す言葉も無くひとりで躍起になっていると、アレンに相手にするなと宥められる。この男がこんなにムカつくのも酒のせいだと思いたい。アレンの制止の声も聞かないクロスは帰ってきたのだから酒の一つや二つくらいいいだろうと段々ヒートアップしていった。Aもアレンもアンタは年中無休でしょうが、とつっこんだ。
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月夜弥(プロフ) - かがりさん» はい!暑いので熱中症には気を付けてくださいね! (2018年5月19日 11時) (レス) id: 2435ed909b (このIDを非表示/違反報告)
かがり(プロフ) - 月夜弥さん» 初めまして、暖かいコメントありがとうございます! これからもゆるりと更新しますので、しばらくお付き合い下さい! (2018年5月19日 9時) (レス) id: d3d904e778 (このIDを非表示/違反報告)
月夜弥(プロフ) - アレン君まじ尊い…天使ですか!?とっても可愛いです!このお話大好きです! (2018年5月13日 22時) (レス) id: 2435ed909b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かがり | 作成日時:2018年3月30日 18時