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おずおずと差し出された本を受け取った。おすすめの本だと言われ咄嗟に借りると答えたアレンだったが、正直文学に触れたことがないのでかの有名なシェイクスピアの名前を聞いてもぱっと浮かばなかった。リナリーに｢ロミオとジュリエット知らないの？｣と呆れたように笑われたった今思い出したところである。
｢アレンくんって本とか読まないんだね｣
｢えっと、あはは。でも興味はあるんですよ｣
｢本当？ じゃあまた貸してあげる、感想聞かせてね！｣
とたとたと可愛らしい足取りで駆けて行くリナリーは天使さながらの微笑をアレンに向けて教室を出ていった。
――あー、もう、君って人は！
左胸の心臓が位置する場所を真っ直ぐに撃ち抜かれたことを痛感し、アレンが一人頭を抱えていると何やら深刻そうな顔をしたラビがやって来て机に腰掛けた。
｢恋はまことに影法師、いくら追っても逃げていく。こちらが逃げれば追ってきて、こちらが追えば逃げていく｣
ふぅ、と深い溜息をついて徐にアレンを見つめてくるラビは正直気持ち悪かった。バカなうさぎにドン引きしているとラビは馴れ馴れしく肩を組んできた。今度は目に涙を浮かべているが、この男がこの顔をする時は大体ろくなことがないと知っているのでアレンはリナリーに続いて教室を出ようと荷物をまとめだした。
｢って、オイオイ！ アレンさん聞いてくれよ！｣
｢嫌です｣
｢ヒドイ！ 俺今傷心中なんさ、なんでかと言うと……｣
がしっとしがみついて離れないラビと数分格闘した後、遂に無駄な抵抗だと知ったアレンは放課後テスト勉強とリナリーから借りた本に費やすはずだった時間をラビの無駄話に費やす羽目になった。
｢……いや、それきみが悪いじゃないですか｣
｢え？ マジで？｣
アホ面でポカーンとしているラビの横っ面を張ってやりたい気分になりながらアレンは正論を捲し立てた。そもそも二股をかける男が正しいわけが無いのだ。少し反省の色を見せた様子のラビは去り際にニヤついた顔でアレンに告げて教室を出ていった。どうやらラビと神田はこれからどうやって勉強すれば神田が赤点を回避できるかを話し合うらしい。認めたくはないがラビがああみえて頭が良い、この前も学年で10位以内には入っていると自慢してきた。
｢あ、さっきのはシェイクスピアの言葉な。アレンが『真夏の夜の夢』持ってたからさ｣
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月夜弥(プロフ) - かがりさん» はい！暑いので熱中症には気を付けてくださいね！ (2018年5月19日 11時) (
レス) id: 2435ed909b (このIDを非表示/違反報告)
かがり(プロフ) - 月夜弥さん» 初めまして、暖かいコメントありがとうございます！ これからもゆるりと更新しますので、しばらくお付き合い下さい！ (2018年5月19日 9時) (レス) id: d3d904e778 (このIDを非表示/違反報告)
月夜弥(プロフ) - アレン君まじ尊い…天使ですか！？とっても可愛いです！このお話大好きです！ (2018年5月13日 22時) (レス) id: 2435ed909b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かがり | 作成日時：2018年3月30日 18時
