07 ページ19
「探しましたヨ、ロード」
長い溜息と共にひょいとロードを抱き上げた千年公基、千年伯爵はアレンを一瞥すると極力ロードから離してしまった。可愛い娘を何処の馬の骨とも分からぬ男にはやれないということだろうか、アレンも苦笑いしている。
「アレン〜！ ねえ僕もそっち行きたいんだけどぉ〜〜！」
「アナタがアレンに近付くとシェリルのパパアンテナが発動するんですよネェ」
「やだやだお父様なんか知らない！」
「ティキぽんはそろそろ帰ってきますヨ〜」
彼が父親だと思っていたが、それはAの勘違いだったようだ。ティキぽんに反応を示したロードは大人しく千年伯爵に手を引かれていく。今度こそ納得したらしい。Aはロードが新しい玩具を与えられた子供のように目を輝かせたのを見逃さなかった。今頃彼は悪寒を走らせているだろう。心中察するよ、ティキぽん。
「じゃあねェ。……僕、アレンのことは大好きだけど、家族も大事なんだぁ」
「ばいばーい」
我儘でどうしようもない子だと思っていたが、家族思いな一面もあった。Aはロードに手を振りながらアレンと共に反対方向へと歩き出す。予想外のことは起きたが、それはそれで楽しかった。
「そういえバ、今年こそクロス・マリアンは帰ってくるんデスヨネェ？」
「……うっ、尽力します」
「毎年毎年困ってるんデスヨ、主催はお宅の神社なのニ」
「あの人は帰ってきます。女たらしの飲んだくれですけど、腐っても僧侶ですから」
「楽しみにしてマス」
振り向きざまに千年伯爵は良い雰囲気をぶち壊して帰っていった。クロスさん恨まれすぎじゃないか、何年神社放ったらかしてんだ。最後の最後でこれかい、とがっくり膝が折れたが、隣から凄まじい熱気が伝わってきたのでAはゆっくり横を向く。
「今年こそ絶対捕まえてやる！」
「……帰ってくるといいね」
ゴゴゴゴ、と効果音がついたアレンが拳を握り締めて恐ろしい笑顔を浮かべていた。
聞けば聞くほどアレンの義父、クロスはとんでもない人物であった。どんどん凶悪になっていくクロス・マリアンを脳内で描きながら、Aは他力本願だが今年は帰ってきますように。と彼が神主を務める十字神社に小さなお祈りをした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 23人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「アニメ」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月夜弥(プロフ) - かがりさん» はい！暑いので熱中症には気を付けてくださいね！ (2018年5月19日 11時) (
レス) id: 2435ed909b (このIDを非表示/違反報告)
かがり(プロフ) - 月夜弥さん» 初めまして、暖かいコメントありがとうございます！ これからもゆるりと更新しますので、しばらくお付き合い下さい！ (2018年5月19日 9時) (レス) id: d3d904e778 (このIDを非表示/違反報告)
月夜弥(プロフ) - アレン君まじ尊い…天使ですか！？とっても可愛いです！このお話大好きです！ (2018年5月13日 22時) (レス) id: 2435ed909b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かがり | 作成日時：2018年3月30日 18時
