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少女がアレンにべったり糊付けになっている間にAは急激に彼に対する認識が危険性を孕んだものになっていくことに気付いた。頭に浮かんだ「ロリコン」の四文字に寒気がしてそっと距離を取る。
「ちょ、誤解ですってば!」
「アレンさっきから誰に話してんのさぁ。ボクと遊んでよぉ」
「ダメです、もう遅いでしょ! 送って行くから今日は帰って下さい」
「ちぇ、つまんないのぉ。折角塾サボって会いに来たのにぃ」
ぷくっと頬を膨らませて渋々アレンから離れた少女はロードと言うらしい。兄のようになだめすかして上手く機嫌を取るとロードは納得したようで、アレンに手を引かれながら歩き出した。
――しかし、
「きゃはは、千年公にバレちゃったぁ! アレン行くよぉ〜〜」
「えっ、ちょっとロード!?」
悪戯が見つかってしまった子供のように一瞬どきりとした表情を見せたかと思えば、くるくると表情を変えてお腹を抱えて笑い出す。何もかもから置き去りにされたAがあっけらかんとしている間に二人はぐんぐん小さくなっていく。
「あー! アレン待ってよー!」
ハッと我に返り二人を追いかける。漸く日が落ちた町中の人混みをするすると音もなく縫い歩くAが二人に追い付くのは容易かった。嫌がらせの意を込めて思い切りアレンの身体を突き抜けてやると、アレンはぶるりと身を震わせる。生身の人間の身体は温かいので、冷たい(らしい)Aが通り抜けると、とてつもなく気分が悪くなるのだという。
普通の人の倍以上の量を食べるアレンの美味しそうな手料理が毎日の楽しみだったというのに、土曜日の夜にお預けを食らってしまうとは。今度はAの機嫌が悪くなる番だった。眉根にしわを寄せてむくれるAにアレンは冷や汗をかいている。
「もう疲れた! 帰りたい!」
「ねえ、機嫌直して下さいよA」
「かーえーりーたーいー!」
「……困ったなあ」
珍しく我儘を言うAにアレンはお手上げ状態でロードは不思議そうに小首を傾げている。Aが駄々をこねている間に、三人の前にぬらりと影が現れた。アレンにとっては見慣れたシルクハットに紳士服の愛想の良さそうな雰囲気の中年男性が立っている。
「やっほぉ〜、千年公。ティッキーはぁ〜?」
センネンコー、Aには聞き覚えのない言葉であった。
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月夜弥(プロフ) - かがりさん» はい!暑いので熱中症には気を付けてくださいね! (2018年5月19日 11時) (レス) id: 2435ed909b (このIDを非表示/違反報告)
かがり(プロフ) - 月夜弥さん» 初めまして、暖かいコメントありがとうございます! これからもゆるりと更新しますので、しばらくお付き合い下さい! (2018年5月19日 9時) (レス) id: d3d904e778 (このIDを非表示/違反報告)
月夜弥(プロフ) - アレン君まじ尊い…天使ですか!?とっても可愛いです!このお話大好きです! (2018年5月13日 22時) (レス) id: 2435ed909b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かがり | 作成日時:2018年3月30日 18時