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人間としてあるべき欲が存在しないAはよく食べ、よく眠るアレンを毎日観察するのが日課になっていた。寝顔を見つめながらぼんやりとしている間に土曜日の朝がやってくる。しばらくお世話になっていたガーゼはなく、トレードマークともいえるいつもの傷痕が以前に増してくっきりと浮かび上がっていた。
｢アレン起きないのー？｣
｢……今何時です？｣
｢もう九時だよ、出掛けるんでしょ。起きなさーい｣
クッションや枕を浮かせて手当り次第に投げつける度ばふとアレンの顔に命中する。それが案外面白くて笑い転げていたAだったが、アレンは低血圧なのか寝起きが悪く触れられもしないAにぐっと近付くと眉間に皺を寄せて固まってしまう。……あ、れ、怒ってる？
息なんてできないはずなのに、唇が触れるほど近付かれて反射的に息を止めてしまう。とっくに止まっているはずの心臓はどくどくと脈打っているようにすら感じた。
｢ご、ごはん食べないの？｣
壁際まで一目散に駆けながら苦し紛れに吐いた言葉を聞いたアレンは｢おかわり｣の一言を最後に事切れたようにがっくりベッドに崩れ落ちる。なんだ、寝ぼけてただけか。それにしてもいつもの貼り付けたような紳士の笑顔は何処へ、彼のギャップにAは驚いていた。
そうしてアレンが起きたのは十時を少し過ぎた頃、いつものようにたくさん朝食を食べニコニコ笑顔で玄関前に立つ彼を見送ろうとすると、不意に手を差し伸べられAは戸惑った。
｢わたし……？｣
｢約束したでしょう、君に協力するって｣
伸ばしかけた手を引っ込めてアレンに近付くとAは小さく頷く。虚しく空を掻くだけだと分かっていたのに、もしかしたら触れられるかもしれないと期待してしまう。そんなこと起きるわけがないと内心苦笑いをしながらAは珍しく晴れた空の下に飛び出した。
アレンが色々と調べてきたのか、最初に訪れたのはAがよく知っているような場所だった。開けた視界にガードレールの向こうの湖を、不思議にもよく知っている。初めて見る景色のはずなのに、以前に来たことがあるような気がする。これが世に言うデジャブというものなのだろうか。
｢何か思い出せそうですか？｣
｢わかんないけど、私この場所知ってるよ。……懐かしい感じがするの｣
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月夜弥(プロフ) - かがりさん» はい！暑いので熱中症には気を付けてくださいね！ (2018年5月19日 11時) (
レス) id: 2435ed909b (このIDを非表示/違反報告)
かがり(プロフ) - 月夜弥さん» 初めまして、暖かいコメントありがとうございます！ これからもゆるりと更新しますので、しばらくお付き合い下さい！ (2018年5月19日 9時) (レス) id: d3d904e778 (このIDを非表示/違反報告)
月夜弥(プロフ) - アレン君まじ尊い…天使ですか！？とっても可愛いです！このお話大好きです！ (2018年5月13日 22時) (レス) id: 2435ed909b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かがり | 作成日時：2018年3月30日 18時
