Start Moving ページ13
勢いよくエンターキーを叩き、あともうちょっと、と伸びをすると、休憩がてら、ふと課内を見回した。
隣のデスクのドラコを見ると、「ええ、わかりました。今そちらに向かいます」と取引先へ、ジャケットを持って颯爽と去って行き、ミス・パーキンソンは、じっとパソコンと睨めっこしながら紙にペンを走らせている。
うちの会社に、暇なやつも、能無しもいない。出来るやつだけここにいる。
例え最初は出来なくても、人事とダンブルドアが見込んだ人たちならと、マグルであろうと魔法族であろうとバリバリ仕事をこなせるように育て上げる。
ほんと、うちってすごいな、と今さらの感慨を抱きつつ、スネイプに書類を渡しに席を立った。
雑音の中で、一際人と違う集中力を発揮して、周りと遮断しているスネイプ。
……なにが一番悔しいかって、あいつの方が仕事、出来んのよ。
黙々とあいつが仕事をこなしていくのを見て、ずーっと胸の中で巣食っていたそれがなぜか溢れた。
最近、あいつとは和解(?)しつつある。理不尽な仕事の量に噛みつくこともあるが、あいつの方が倍くらい量が多いことを知ると、悔しく思い、噛みつくぐらいなら減らそうと、朝の騒動がない日が現れ、少し穏やかになりつつある。
「……課長、これ、チェックお願いします」
聞こえるように少し声を張り上げる。
じろり、と黒瞳がこちらを向く。
私は、なぜかあいつが「そこに置いといてくれ」と言っているような気がして、そっと書類を置くと、スネイプは、本当に、ほんの少しだけ目を見張り、「……ああ」と、無愛想にパソコンに視線を戻した。
…………え、以心伝心?と呆気に取られたが、いやいやまさか、と自分のデスクに戻った。
「ご機嫌麗しゅう?スリザリンの女王様」
暫くまたデスクワークをしていると、頭上からシリウスの声がして、パッと顔を上げる。気づかなかった。
………というか。
「だーれがスリザリンの女王様よ」
悪戯が成功した子供のような顔をするシリウスの頬を、思いっきりつねると、「いててっ」と声を漏らした。
「おい、力加減は」シリウスが頬を擦りながら言う。若干赤い。
「ふん、からかうあんたが悪い」私がむすっ、として言う。
「はは、ぶっさいく」
「ほっぺた真っ赤」
つねった頬を指差して言うと、誰のせいだと思ってるんだ、という顔をした。あんたのせいよ、と目で返した。
「……で、なに」半ば呆れた目を向けると、「おっと、忘れるとこだった」と呑気に書類を渡した。
88人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハリーポッター」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ニー(プロフ) - 更新頑張ってください (2020年8月17日 7時) (レス) id: 37a4633e60 (このIDを非表示/違反報告)
めーこ - いきなり、すいません!続きが気になります!!身勝手だとわかっているのですが、とても気になります。宜しくお願いします。 (2020年7月16日 20時) (レス) id: 37a4633e60 (このIDを非表示/違反報告)
あっちゃん(プロフ) - スネイプが上司とか、最高のシチュエーションじゃないですか!鼻血もんですね!続きを楽しみにしております!変態なので、もっと!お願いします!w (2019年8月23日 20時) (レス) id: e5a60e486d (このIDを非表示/違反報告)
暇愛*(プロフ) - リリ・コトンヌ・コリンさん» ありがとうございます!一体どうなるんでしょうね?((稚拙な作品ですが、よろしくお願いします! (2019年8月10日 16時) (レス) id: 173ca6d821 (このIDを非表示/違反報告)
リリ・コトンヌ・コリン - 毎度,毎度,楽しみにしてます!スネイプ教授と主人公の展開にドキドキしてます! (2019年8月10日 9時) (レス) id: 118f4f2f26 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:暇愛* | 作者ホームページ:
作成日時:2019年7月20日 8時