【黒バス】愛したっていいじゃないか【短編集】

★♪【古橋康次郎】見習いハーデス ページ35

赤黒く輝く月が、俺を照らしていた。




煩悩に溺れていく俺の醜い顔を。




本当に笑えない話だな…




まだ生きているAに恋をするなんて




愛してる




絶対に、忘れない




「ほらA、一緒に踊ろう」




「うん!」




あどけない顔の彼女の手をとり、なにを、というわけでもなく踊り出す。




夜よ、明けないでくれ…





ちょっとしたことで命を落とした俺に下された審判は…




死神になって




『世界で最も愛した女の命を奪う』




そんな残酷なものだった。




「康次郎…?」




「ん?」




一緒に歩いていた彼女がいきなり足を止めた。




「ここはどこなの?」




「ここは…、あの世だ」




「っ?!」




彼女はとても怯えてしまった。




そんなに怖がらないでくれ…




「大丈夫、命を奪ったりはしない」




「そう…康次郎が言うなら本当だよね!」




「あぁ」




ずっとこのままでいられたらいいのに…




『命を奪えない死神はいらない』




ふと、そんな言葉が聴こえた。




そうか、俺はいつでも未熟だな




バスケも、ラフプレーも、死神も





愛する人を愛し続けることでさえ…




「そろそろ、だな…」




「どうしたの?」




彼女には可哀想だが、俺はもう行かなくてはならないらしい




「A、ここで、さよならだ」




「康次郎…?」




「愛してる」





未熟なままで死んだ少年は、





死神になっても未熟なまま、消えていった─







ーーー

遅くなってスミマセンでした!!!!

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