*Bonds*16

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智side


昨日から様子がおかしいのは知っているから。

ドアをノックしてから，小さな声で名前を呼ぶ。


「和ー。朝だよ。仕事遅刻しちゃうよー。」

「……。」



返事がないから，扉を開けようかな…。

ドアノブに手をかけた瞬間。





げほっ，ごほ…ごほ……！


聞こえた音に，思わず顔をしかめる。




「げほっ，げほ，げほ…！ごほ…。」


明らかに，和の部屋から聞こえてくる声。

躊躇いなく開けた扉の向こうに，


「和！？」




顔を真っ赤にしてる和がいた。


「はぁ，げほげほ！ごほ…っわ，智…にぃ，かってに…入ってきた…ろ？」

うわっ，ロレツ回ってねぇし，こいつ。



額に手を当ててみたら，


「すげー熱じゃんか。」

「……あんまないよ。」

「どこが。今日は仕事お休みな。翔ー，翔，ちょっと冷えピタとってきてー。」




大きな声で，１階に向かって叫ぶと，
すぐにリビングからひょっこり顔が出る。

「えー，和具合悪かったー？」

「熱あって，咳酷いみたい。」


言わなくていいのに…って，和は恨めしい目で俺のこと睨んできたけど…さ，





ピピピピッ


「お前…。いつからこんなあったんだよ！」




39.2℃


さすがに，この体温を見ても，平気な素振りを見せられる人は，そういない。

大きく息をはいて。

怠そうに目を閉じる。



「げほっ，ごほ…ごほげほ…っ。」


また，大きく背中が揺れた。

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