【 歌い手 】保健室 。【 センラ 】

21 日目 ページ28

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どのくらい経ったのか ､ Aが落ち着いてきた頃を見計らって そっと体を放す 。



体が離れる瞬間 ､ Aが名残惜しそうに ｢ あっ … ｣ と小さく声に出した 。




無意識であろう その行動 。



やめて ほんま …


あんま かわいい事せんでや ｡



嫌でも 気付かされてしまう ､ 自分の気持ち 。




叶うはずなんてないのに 。




だけど ､ 今は Aがセンラに全てを話してくれたことが嬉しくて 。


信用されてる ､ ってことが嬉しくて 。




前を見れば ､ 涙で潤んでキラキラした瞳が センラのことを見つめていた 。



綺麗で ､ 今にも壊れそうなほど弱く見える 。




この子を Aを 守りたい 。


守らなくちゃいけない 。




じっとAを見つめ返す 。




せ ｢ A ､ センラと ひとつ 約束しよっか ｣


｢ …… 約束 ? ｣



頷きながら ､ Aの頭にそっと手を置く 。


もうすっかり癖になったその行動で Aが安心することを センラは知っていた 。




せ ｢ もしこの先 苦しいなぁ ､ しんどいなぁ って少しでも思ったら 必ず センラに教えて ? ｣




Aの目に 迷いが浮かぶのが見えた 。



｢ …… でも ｣





せ ｢ そのかわり センラも約束する ｣




俯いたままのAに 顔上げて ? と声をかけて 上を向かせる 。



不安そうな彼女と目が合ったのを確認して 続けた 。




今 センラがいちばんAに伝えたいこと 。





せ ｢ センラは 絶対 Aを残していなくならへん ｣




Aの目が見開かれる 。




せ ｢ ずっと そばに ､ なんなら隣におったる ｣




Aをひとりになんてしない 。



話してくれたってことは ､ 今までAがたった1人で背負ってきたものを センラが一緒に背負っていける ということ 。




辛さは 2人で はんぶんこ 。


半分以上だって背負ってやる 。




やからさ ､ A ?





せ ｢ センラを信じて ｣





そっと小指を立てて差し出す ｡





正直 怖かった 。


拒否されたら ? 怖がられたら ?





だけど その気持ちを Aに見せたら 不安になってしまう 。



大丈夫 ､ と目で必死に伝える 。





差し出した指に ､ ゆっくりとAの指が絡まる 。




…… なにがなんでも Aを守る 。




小さな指を 少しだけ握った 。



それに応えるように ､ センラの指も握られる ｡




｢ ありがとう ｣



そう聞こえた気がした 。

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