【 歌い手 】保健室 。【 センラ 】

22 日目 ページ29

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｢ … ひとつだけ ､ いいですか ? ｣



せ ｢ ん ? ええよ ? ｣





今なら ､ 大丈夫な気がする 。



センラ先生に ､ 勇気をもらったから 。




そっと さっきまで先生と握っていた指を撫でた 。




きっと 今じゃないと また逃げちゃうから 。




変わりたい 。





｢ …… 浦田先生と ､ 話したい … です ｣



せ ｢ A …… ! ｣




先生を見れば ､ 驚きながらも ､ その表情は明らかに 嬉しそう 。




あまりにも分かりやすすぎるそのかわいい反応に思わず頬が緩んだ 。




それと同時に 私なんかのことでこんなにも喜んでくれることに素直に嬉しかった 。





だけど やっぱり不安がなくなった訳では無い ｡



私は浦田先生に酷いことをした 。




謝って ､ それで …… 前みたいに戻れるなんて限らない 。




せ ｢ …… 無理はせんでええんよ ? ｣

せ ｢ 今 全部をなんとかしようとせんでも ､ ゆっくり 自分のペースで ｣




そう言って心配そうにこちらを伺う先生 。




さっき ､ 約束した 。信じて頼って ､ って 。





｢ …… 先生 ､ 私 やっぱりまだ怖いんです ｣



せ ｢ うん ｣



｢ だけど あの時 浦田先生にしたことを すっごく後悔してるんです ｣



せ ｢ うん ｣



｢ 謝りたい ､ って思うんです 。怖かったけど ､ まだ怖いけど … ｣



せ ｢ …… うん ｣




｢ … 先生がいてくれる ってそう信じてますから ｣



せ ｢ 当たり前や ｣






｢ だから ､ そばにいてくれませんか ｣




緊張して ､ それに 頼るなんて久しぶりで ､ 声が震えた 。


だけど 不思議と怖いとは思わなかった 。




先生なら ､ って 信じてるから 。




せ ｢ 任せとき ｣



ふふん ､ と得意げに笑って頭を撫でてくる 。




先生は 少し待っとり ､ と私に声をかけてから 浦田先生に連絡を入れはじめた 。



黙ってその姿を見つめる 。




深呼吸を繰り返していると ､ いつの間にか隣に来ていたセンラ先生 。




せ ｢ 今 うらたん呼んだで ｣


｢ … あ ､ ありがとうございます ｣




せ ｢ しんどくなったら言うんよ ? ｣


｢ … はい ｣



話していると 扉がノックされる 。




う ｢ センラ 。俺 うらた ｣



もう1年ぶりの浦田先生の声だった 。




センラ先生が はぁい ､ と返事をして 扉の前へ向かう 。




… 前に 私を 優しく抱き締めた 。





せ ｢ おまじない ｣





… 心臓がうるさいのは 緊張のせいだ 。

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