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50p-切ない失恋 ページ20




















「先輩」


「お、紀田」


「今帰りスカ?」


「うん。」


「ちょっと、話しませんか」



憂いた瞳が、真っ直ぐに彼を見つめる。


夜、それも真夜中。

きっと彼は私が帰るのを待っていた。

そうしたのはきっと…



「この間のクッキー、有難う御座いました。」


「いやあ、あれ、流石に作りすぎたよね〜

持ち帰らせてもあれだけ残っちゃって」


「ホントすよ」

と言って笑う、笑う




束の間の静黙が訪れる。左右交互に結んだ指に夜風が良く通る




「…A、先輩、あの」



「私達ってさ、似た者同士だよね。」


「、はい、そうですね」


他人行儀な返事をさせてしまったことに対して少し胸が傷む。それでも、続けねばならない。

「この前話したの、覚えてる?」


「っ何の話かは分かりませんが、絶対、覚えてます」


「放っておけない人のこと、」


「はい」


「でもさ、嘘ついたよ。私も君も。」


「どういうこと、ですか…」


「本当は、本当に放っておけない人は、


本当にそばに居てやらないと行けない人は、」


他にいるでしょうと。


それは私も君も同じ。だと



「だから、私達ってさ、本当に似た者同士なんだよ。」




「先輩、俺は…」



未だに彼女の耳元には白い紫陽花がひらりと煌めいている。



「だから向き合おう。逃げてちゃ、駄目だ」



「A先輩!俺は…っ」



悔しそうに下を向く彼


悲しくて、苦しくても、彼を真っ直ぐに見つめる彼女。


最初に彼と会って、話すことになった時から、



彼女は覚悟を決めていた。




「紀田」



「…」


ふるふると震え出しそうな彼。ゆっくりと、女の方を見上げる。






「有難う」





俺は、先輩の優しい微笑みに滅法弱い。



それはきっとーーーーー







俺が彼女(放っておけない人)を思い出すから。









でも、本当に。本当に俺は貴方が好きでした。先輩




結局言わせてくれないまま、


この思いを本当にさせてはくれないまま行ってしまいましたね。








何処までも優しくて、残酷な人。



















51p-真実を→←49p-別れ国



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戓乃(プロフ) - 欺きにゃんこさん» ギャー滅茶苦茶嬉しいです、有難うございます…!逆に分かりにくくなってないかが最近の悩みです(´///// ` *) (2018年7月4日 15時) (レス) id: 7358168600 (このIDを非表示/違反報告)
欺きにゃんこ(プロフ) - とてもお話が凝っていて 面白いです。 続き待ってます (2018年7月4日 14時) (レス) id: 57e8984140 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2018年5月24日 6時

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