メモ帳

(全国立海、表彰式後/立海)

俺たちは無敗でお前の帰りを待つ。

そう言って青学に君たちは負けたんだ。
そして今日、そう仲間を嘲笑った俺も負けた。

常勝立海。

何が常勝だ。
何がイエッサーだ。
俺は全国では試合に出なかった。
そして、手術後、中学最後の全国大会で黒星だ。

君たちはこんなにも弱い俺に罵声を浴びせないんだ。
なぜ責め立てない。
なぜ失望したと言わない。



なぜ、そんなに君たちは泣きながら微笑んでいるんだ。
俺には理由がわからない。
お前達は夏の間ずっといっしょだったからか?
考えれば考えるほどわからない。
夏に何があったんだ。

真田。泣くのはいい、俺を制裁しろよ。
蓮二。困ったように泣くなよ。
仁王だって。
柳生だって。
丸井だって。
ジャッカルだって。

優しさはいらない。
俺は負けたんだぞ?
なぜ言ってこない。

胸が苦しい。
ああ、足が動かない。
鉛のようだ。

楽しむテニス?笑わせるな。
所詮スポーツは勝ち負けだ。
勝てると楽しいし、負けるとつまらない。
……敵がいない俺は勝つことに慣れすぎてしまっていたのか。
いや、勝つことが当たり前なんだ。
俺は神の子。
勝たなければ…いや、ここで負けるのがわかっていたから神の゛子゛なのか。
誰が言い出したか。
何故子をつけた。
子をつけられていなかったら今頃坊やに勝っていたのか?

…ああ、わからない。

目の前が暗く染まり、俺はさまよう。
見えない恐怖。音が聞こえない恐怖。
触る感覚がない。

これが、坊やが見ていた闇か。

ああ、氷のように冷たい泥沼に落とされた俺はきっと。

抜けなせないだろう。



(おわれ)

〜〜〜〜〜
ずっとこういうやつ書きたかった。