消えぬ文字【季槙キャットアンダー学生時代:】

〜CanaryCrow 本拠の廃ビル　とある一室にて〜





　雨が振りだしそうな外の気候から

　部屋は薄暗く



　荒い獣のような吐息が、一層不気味に響いた




　血で湿ったシャツを脱ぎ捨てると



　びちゃっ

　っと音を立て床に赤黒い染みを広げた





「……また絡まれた」



　服を脱ぎ捨て

　幾つも傷のある上半身をさらけ出した空嵐は

　度々襲ってくる、大きな痛みに顔を歪めた




　空嵐は右手を伸ばすと


　背に負った深い刺し傷ではなく


　左肩に触れた




　正確には左肩の文字に




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　　学生時代



神「なにかお揃いにしたい…？」



　放課後
　公園でだらだらと過ごしていたときだ




　感性が女子に近い真心が、言い出した



羽「おっ、良いね〜何にする？？」

咲「どうせだったら、無くしたり消えたりしないものが良いよね」



　それに便乗し品定めが始まる




　ポカポカとした、日向ぼっこ日和の中

　話し合いの喧騒を心地よく感じた





来「クロは？」



　突然投げ掛けられた質問に



空「お前らと一緒なら、なんでも良い」


　と微笑み返し眠りに付いた



　その数時間後、あんなことになるとは思いもせず









目を覚ましたそこは



　妙に明るく、甘ったるい香りと
　高濃度のアルコールの香りがした


空「！？どこっ！！」



　飛び起きようとした時、覚醒した脳に激しい痛みが伝わった



咲「おー、クロおはよう！」





　腰に跨がり、暴れそうな足を押さえつけるミケ


　
　空「おはよう！…じゃねーよ！！！」




　知り合いのタトゥーショップで俺は
　知らぬ間にタトゥーを入れられていた




　十数分経つとすでに諦めが付き



　枕の縫い目をじっと数えていた






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　何分経ったのだろうか

　記憶に思いを馳せていると



　扉が開き足音が近づく




咲「また絡まれたのか」



　見せてみろ




　と言い腰を下ろしたミケの手には


　治療器具が握られていた




　なれた手つきで包帯を巻き終わると



　ミケは左肩を一撫でし

　立ち上がり



咲「トラが…今度一緒に飲みたいってさ」



　と告げると部屋から立ち去った




　冷たいミケの体温がじりじりと



　消えない文字に残っていた