壊レル程愛シキ君ヘ【戦国BASARA】

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壊レル程愛シキ君ヘ送る物語。 - 2024年5月10日

本日は……竹中半兵衛。

名もなき村が奇襲された。
暗闇に火の粉が舞い、人々は阿鼻叫喚する。

逃げ出す人々を惨殺していく兵士たち。

物陰に怯えながらその場をやり過ごそうとしていた女は、呻き声や甲高い叫び声を聞かぬよう両耳を塞いだ。
生々しい光景を見ぬように俯いた。

ふと、女の子足元に影が現れる。
恐る恐る顔を上げると、仮面を付けた秀麗な若者が立っていた。

彼の瞳は炎の灯りに照らされ、鮮やかな紫色をしている。

「貴方は……」
「久しぶりだね。僕が君に求婚した時以来かな？」

怪しく微笑む若者の名は竹中半兵衛。
以前、突如として求婚を申し出てきた者だ。

彼はよくこの村を訪れていた。

その理由は女の父親にある。
彼女の父は有名な剣豪で、半兵衛は是非豊臣に迎え入れたいと思っていた。
だが、何度もその誘いは断られ、最終手段として剣豪の娘を利用しようと考えた。

何度も接触し、何度も話をしているうちに、いつの間にか彼は利用しようとしていた娘に惹かれてしまった。

自分のものにしたいと考えるようになった。

だから求婚を申し出た。
しかし女はその求婚を受け入れてはくれなかった。

何度も脅した。
何度も卑劣な策を練った。

なんならもう諦めようかと思ったが、それは彼のプライドが許さなかった。

考えることを放棄した半兵衛は、村に兵を送り込んだ。

感情的になった彼は、一見冷静に見えつつもその胸の内では狂おしいほどの恋心を抱いている。

「竹中さん、まさか貴方が」
「そうだよ。だってこうでもしないと、君は僕の気持ちなんて分かってくれないだろう？」

身勝手な彼の行為に恐ろしさを覚えた。
女はこの場から逃げ出したい衝動に駆られた。

「YOU、どうして逃げようとするんだい？」
「いや……来ないで」
「君たち親子のせいで僕は相当な時間を奪われた。でも時間は元に戻せない。だから、君が僕を支えてよ。僕の時間を奪った分、今度は君が僕のために時間を費やしてよ」

YOUは弱々しく首を振る。

「……どうして？そんなに僕のことが嫌い？あんなに楽しく話していたのに。僕の体のことも気遣ってくれたのに」

逃げ出すYOUの足に、容赦なく関節剣が絡みつく。
足を取られたYOUはその場で倒れ、目の前に迫った半兵衛を見上げた。

「さあ、僕と一緒になると誓いたまえ。君に拒否権なんてないんだよ」

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