[凛月/泉] 恋心は君だけに触れてほしいの [日替り]

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「どっちも好き、なんて許さないから」 - 2024年5月7日

瀬名泉**
−−−−


いっそ気絶してしまえればと思うくらいには、毎月訪れるこの痛みに参っていた。病院で治療を受ければある程度は軽減されるようになると小耳に挟んだはいいけれど、一人でああいった病院に行くのは例え違う用事で行くのだとしても躊躇われた。

そんな踏ん切りのつかない私は、今月も机に突っ伏して、あーだかうーだか、言葉にならない普段よりいくらか低い声で唸っていた。

「…大丈夫か？」
「大丈夫だといいたい…」
「大丈夫じゃないんだな…」

気遣い家な真緒くんが声をかけてくれたけど、彼の望んでいるであろう返事は出来なかった。同じクラスになった当初は私が辛そうに唸っているのを見て保健室に連れていこうとしてくれたりしたが、今はもう原因を察しているのか「体冷やすなよ」とだけ言って放っておいてくれる。有り難い。凛月はといえば「うんうん、辛いねえ」なんて言った後すぐ眠りについた。こういう日は血がどうのと言わない辺り優しい。

「ほらYOU。瀬名先輩来てるぞ…っと、」
「ちょっとぉ、何で朝すぐ連絡しないわけ？今回も学校着いてからだったの？」
「いずみぃぃ…」

痛みと泉の優しさで自然と涙が出てくる。何が優しいって、もう全部。教室に入ってくるなり机にドサリと置かれたのは、世の女性が重宝しているよく効くと評判の痛み止め、ペットボトルの温かいお茶、そして保健室から借りてきたのであろう湯たんぽ(先月泉が買ってくれた可愛い動物モチーフのカバー付き)。呆れ顔の癖にてきぱきと私の世話を始める泉は心なしかいきいきとしていた。

「ほらちゃんとお腹冷やさないようにしなよ、ぬるくなったらメールして。朝ご飯食べてきたならさっさと薬飲んじゃいな。」
「ありがと…」
「それから今日の放課後のレッスンは来なくていいから。さっさと帰ってあったかい部屋に引き篭もって。」
「…うん」
「なぁにその顔」

ほら、やっぱり楽しそうだ。でも言ったらどうせ怒るんだろうなあ。何でもない、と目を逸らしたけれど、これまた駄目だったらしい。言いたい事あるなら言いなよ、とほっぺを抓られてしまった。観念して、前々から思っていた事を呟いた。


「…いや、泉ってさ、私の世話焼くの好きだよね…特に生理の時」
「当たり前でしょ？将来YOUに子供産ませるんだからそれの準備くらい世話するよ」
「…はぁ！？ちょっと何言って」
「何、俺の子は要らないって言うの？」
「…泉きもちわるい」
「セッちゃんきもーい」
「はあ！？」

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