あの日、確かに私は＿＿＿

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もう、迷わないよ - 2024年4月26日

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　恋愛下手な二人の恋物語

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　私には幼馴染がいる。名前は無一郎(むいちろう)と言って、同い年だ。


「で？話ってなに？」


　今日は、そんな彼にとある相談を持ちかける事にした。
　そのために、放課後教室に残ってもらって向かい合って座る。


『そのぉ……恋愛相談なんだけど』

「へぇ。とうとう春が来たんだね」


　他の人から見れば、淡々としているように見えるだろう。
　でも、私の目は誤魔化せない。無一郎は昔から不機嫌になると眉をほんの少し顰める癖があるのだから。

　…なんでよ。何が気に食わないのか、はっきりしてよ。


「良かったじゃん。で？どんな男なのさ」

『…カッコよくて、頭も良くて、運動神経も抜群。ちょっと意地悪なんだけど、泣きたくなる時には絶対にそばに居てくれる人……かな』

「具体的過ぎじゃない？」

『そんなことないよ。まだまだこんなの一部で、他にも一杯あるの』

「ふーん。…でもさ、"泣きたくなる時"をその男自身が作って、弱みに漬け込んでる可能性もあるよね」

『…ひねくれすぎじゃない？てか、そんな人じゃないし』


　ちょっと。軽々しく「やめといたら？」なんて言わないで。
　だって、私が好きなのは＿＿＿


「…はぁ。…何で泣いてるわけ？」

『うるさい。無一郎のばぁか』


「そっちの方が頭悪いでしょ。……こんだけ言っても伝わる気配無いしさ」

『………好きなのは、やめれないよ』

「ほら、分かってない。…だから、僕にしとけば良いのにって言ってんの」


　……え、

　思わず顔を上げて、無一郎を見つめる。
　彼は目を細めて頬を膨らませていた。


『…はぇ？』

「もう、最悪なんだけど。…はぁ。困らせたく無いから秘密にしてたのに」

『ねぇ。待って、今それ以上、何も言わないで。頭おかしくなってる』

「ずっと隣にいて、少しずつ距離を縮めて来たのに。それなのに、僕の知らない男が好きとか……『ちょ、ちょっと待って！』……なに」

『わ、わたしが好きなのは……無一郎なんだけど…』


　今度は無一郎が目を見開く番だった。

　……期待しちゃっても良いの？


「……僕に相談しにきたんでしょ？」

『気付いて欲しかったから……』

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