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【神降 し】
──後にも先にもただ一人。神降 しを成した者。
──その者は〈神無 〉という異名を与えられた。
◇
「神様、お願いです」
「降りて 頂けませんか」
人影が話しかける、仄かに薄く光るスクリーンに映し出されているのは、床に座り込んだ少女。
『はは、だからこの所業か、小娘』
──手と足に鎖をつけられ、体のあちこちには痣、裂傷、擦傷などいろいろな傷が付いて居た。
「ええ、そうです。私は、貴方を信じている者達の敵です。
故に、彼らが縋る貴方を降 さないといけない。
分かって、頂けませんか？」
『だからと言ってその話を聞くわけにもいかぬのでな、それに我は死なぬぞ。
だからこその神なのだから、な』
心底残念そうな表情を浮かべた人影は。
傍に置いてあった日本刀を手に取り、《神様》が映し出されているスクリーンを居合い切りの要領で切り捨てた。
その瞬間、甲高い、それでいて聞く者を恐怖に貶める断末魔が響いた。
「──誠に、残念です」
その言葉とともにチン、と音を鳴らし刀を鞘に収めた。
「この刀は〈神無 〉。
──この世界で唯一、依り代ごと神を降 すことができる真器。
……無知が仇となりましたねぇ、《神様》」
そう嗤って人影は赤に染まったその場を後にした。
そこに残されたのは、もとは神だった二分割された《依り代》。
それから、神様は居なくなりましたとさ。
めでたし、めでたし。
【神
──後にも先にもただ一人。神
──その者は〈
◇
「神様、お願いです」
「
人影が話しかける、仄かに薄く光るスクリーンに映し出されているのは、床に座り込んだ少女。
『はは、だからこの所業か、小娘』
──手と足に鎖をつけられ、体のあちこちには痣、裂傷、擦傷などいろいろな傷が付いて居た。
「ええ、そうです。私は、貴方を信じている者達の敵です。
故に、彼らが縋る貴方を
分かって、頂けませんか？」
『だからと言ってその話を聞くわけにもいかぬのでな、それに我は死なぬぞ。
だからこその神なのだから、な』
心底残念そうな表情を浮かべた人影は。
傍に置いてあった日本刀を手に取り、《神様》が映し出されているスクリーンを居合い切りの要領で切り捨てた。
その瞬間、甲高い、それでいて聞く者を恐怖に貶める断末魔が響いた。
「──誠に、残念です」
その言葉とともにチン、と音を鳴らし刀を鞘に収めた。
「この刀は〈
──この世界で唯一、依り代ごと神を
……無知が仇となりましたねぇ、《神様》」
そう嗤って人影は赤に染まったその場を後にした。
そこに残されたのは、もとは神だった二分割された《依り代》。
それから、神様は居なくなりましたとさ。
めでたし、めでたし。
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作者名：黒猫トレノ | 作成日時：2017年3月5日 19時
