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鼠は求むとは。 ページ23

No side


携帯の向こうから声は聞こえない。

余程驚いているのだろう。
『共喰い』の首謀者から電話がくるなど、誰も想像はしない。


ドストエフスキーは口元を歪めた。


「『共喰い(ゲーム)』は順調に進んでいるようですね」

『...何の用?』


微かに含まれる怒りと殺気。
昔写真で見た、光を灯さない瞳の"(モノクロ)の人形"だった少女とは大違いだ。


ティーカップを手に取りながら問いに答える。


「貴女を、私の組織に勧誘しようと思いまして」

『素敵な冗談(ジョーク)だこと』

「本当ですよ」


一口、紅茶を口に含む。

ダージリンの香りが広がった。


「貴女の頭脳や異能は実に素晴らしいものです。なので、正直に言ってしまえば貴女が其方側にいると『共喰い(ゲーム)』がスムーズに進まず、少々厄介なんです。此方側に来れば、『共喰い(ゲーム)』がスムーズに進むことは勿論、貴女の凡てが手に入る」


ずっと前から興味があった。


あの血を受け継いだ子どもがいると知った日から、6年前の皇家を滅ぼし異能が目覚めたのを見てから、更に興味が増した。
"徳永A"を手に入れたいと思っていた。


『"遺言は死んで言え"って知ってる?』

「素敵な冗談(ジョーク)ですね」

『とにかく、その勧誘に私の利点(メリット)がない。残念でした』


通話を切ろうとするAを「待ってください」と制する。


こういわれるのは想定内だ。


「其方の首領を扶けると言ったら、如何でしょうか」

『は...』

「それだけではありませんよ。





貴女が何年も知りたがっている、両親について調べるのを手伝いましょう」


携帯の向こうで息をのむ声が聞こえた。

驚き、困惑しているのだろう。


首領が扶かれば死なずに済む事は勿論、ポートマフィアは元の体制に戻る。
ポートマフィアにとってもAにとっても、今後の裏社会にとっても最大の利点(メリット)

そして何より、"Aの両親について"


判っているのは、母親が皇家の人間だったという事だけ。

どんな人だったのか、何故死んだのか、如何して何も情報がないのか___


どんなに調べても探しても無い。

まるで、開けれない(あけてはならない)パンドラの匣の中に隠されているかのように。

当たり前とは。→←電話とは。



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玲佳(プロフ) - 凄く面白かったです! (2019年12月31日 19時) (レス) id: 30c7137208 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - ちびうささん» そう言っていただけて光栄です。イラスト…!!是非お願いします、ありがとうございます!!待ってます(正座)更新頑張りますね! (2019年1月29日 0時) (レス) id: 5c7b126db4 (このIDを非表示/違反報告)
ちびうさ(プロフ) - この小説シリーズ面白くてあっという間に読んでしまった、、、。私ツイッターとかでお絵かきしてるのですがよろしければ参謀ちゃんのイラスト描かせていただきたいです!!更新楽しみに待ってます!!! (2019年1月27日 17時) (レス) id: f5433967f3 (このIDを非表示/違反報告)
はつり(プロフ) - RANAさん» もちろんです!ありがとうございます〜 (2019年1月18日 20時) (レス) id: 3cbdf99785 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - はつりさん» わざわざありがとうございます!!和装徳永とても嬉しいです!!!おにぎりは森さんに買ってもらったんですね(( ありがとうございます!!もしよろしければ小説に載せたいのですがいいでしょうか? (2019年1月18日 19時) (レス) id: 5c7b126db4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb  
作成日時:2018年7月1日 18時

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