窮地と携帯と蛞蝓 ページ8
「兎も角、何故君はそんなに敬語なんだい?同い年だから敬語は抜かして良いって云っているだろう?あと名字呼び禁止」
『ですが......』
「幹部命令」
『おい、待てや』
何故、双黒共揃ってこんなに私に名前で呼んでほしいの?あんたら互いに嫌いだとか云っているけど、どっちも似た者同士だからねというかお前は職権乱用〜!
『えっと、その...考えておきます』
太宰幹部は一瞬キョトンとしたようになり、そのあと直ぐに元通りに、何時ものハイライトが灯っていない瞳で私に向けて笑みを溢した。
そして、何を思ったのかゆっくりとした足取りで私が座っている机に近づいてきた。
え、何?怖いんですけど!?無言!?無言だけは止めて!怖いって!
太宰幹部は私の前に来ると机に手をついて、グイッと顔を近づけてきた。しかも、私が前へ顔を動かせばもう互いの鼻がくっつきそうなほどに。
『太宰幹部、あの...』
「うふふふ、本当に君は何も知らないんだねぇ。可愛いなぁ...」
そう云い、彼は私の頬に触れ弧をなぞった。
ヤバいヤバいヤバい!私の脳内危険信号が赤く点滅していることが判る。こいつは...ヤバイぞ、本当、言葉では云い現せないくらい、ヤバい展開になるぞ......。
このまま先に進んでしまえば、取り返しのつかない事になってしまう...!
誰かぁぁぁ!助けてぇぇぇぇ!
あ、紅葉さんでも良いぞ!誰かぁぁ!この場の状況を覆せるクラッシャァァァァ!!
太宰幹部は細く白い指を頬、唇、喉、胸...へと順番になぞっていった。
途中でその手を止めると、私の職場服の釦を上からゆっくりと外していく。
え、待って。待って待って待て待て、何すんの?
太宰幹部は私が座っている椅子を押し倒し、私に股がった。
彼がズボンのベルトに手をかけた瞬間、今さらだが、自分が今どんな危機的状況なのかやっと理解できた。
ちょ、待ってヤバいっ______
次の瞬間、誰かの携帯の着信音が鳴った。
「......チッ」
おいこら舌打ち。
太宰幹部は自分の...仕事用の携帯を懐から取り出して、慣れた手つきで携帯を開いた。
「...何?蛞蝓......あぁそう、別になにもしてないよ............煩いなぁ、判ってるってば......あぁ、じゃあね」
勢いよく携帯の液晶画面を閉じると、上から私を見下ろした。
「...じゃあ、続きはまた今度......ね?」
太宰幹部は小さく私の額に接吻を落とすと、この部屋から踵を返した。
............よくわかんないけど。先ずは一言。
携帯かけてくれた蛞蝓さん、マジでありがとう。
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yuhs2828(プロフ) - めちゃ好きです…!更新楽しみにしてます! (2022年3月30日 22時) (レス) @page18 id: 91befa6124 (このIDを非表示/違反報告)
幻想見る主人 - 加賀さん» すみません、間違えていました。修正しておきます。ありがとうございます!楽しみですと......!?更新、頑張ります! (2019年5月26日 0時) (レス) id: 4872ed47ec (このIDを非表示/違反報告)
幻想見る主人 - 恋雪さん» ありがとうございます!面白いですって!?マジか、嬉しいです!更新頑張ります! (2019年5月26日 0時) (レス) id: 4872ed47ec (このIDを非表示/違反報告)
加賀 - 確信犯の意味間違ってますよー、面白いです。更新楽しみにしてます (2019年5月24日 6時) (レス) id: 50f98fc46b (このIDを非表示/違反報告)
恋雪 - めっちゃ面白いです…これからも頑張ってください!! (2019年5月24日 6時) (レス) id: f47a566b59 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:幻想見る主人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/buyda/
作成日時:2019年4月28日 17時