詰んだ美男美女と死体 ページ18
気を取り直して、私は乱れた呼吸を整えた。
先刻から素人でもわかるほどに暗い雰囲気を辺りにまき散らしている太宰幹部に視線を向けた。
怒ってる、絶対怒っていらっしゃる。
私は青褪めた顔を気にせずに、一呼吸おいて彼に云う。
『...太宰幹部。申し訳ありません......』
「......いや、いいさ。今回は無理はないよ、急に殺しにかかって来たんだからね。
それよりさ、怪我とかない?何もされてない?大丈夫?」
太宰幹部は私の肩を両手で掴み、私の身体の全体を触りながらじーっとまじまじと見つめた。
え、ちょ、何処触って――――
「太宰ィィ!手前さり気なくセクハラしてんじゃねぇぞ!」
と、今度は小さい殿方が怒り出した。
瞬時のことだったが判らなかったけど、何故か太宰幹部は中原さんの拳を受けて後方へ吹っ飛んだ。
というか、せくはら......って、何?
何か、腰と尻辺りになんか違和感があったけど......如何したのかな?
まあ、なんかあったんだろうね。私には関係ない、うん、関係ない。
『そういえば、このパーティーの主催者である、組織の長さんは何処に行ったんでしょうね』
独り言で云ったつもりだったが、二人は同時に此方を向いた。
あんたら、互いに嫌い合っているけど......仕草とかそういうのは本当にそっくりだぞ。
と、言ったら私は今度こそマジと書いて本当に医務室の住人になっちゃうのでご勘弁ですわ。
「...この暗殺者が長に雇われたって云う線は考えてもおかしくない、
つまり、こいつが居るってことは...」
太宰幹部は男の死体(?)を指先で小突いきながら呟いた。
「...応援要請は出来ないのかい?」
『はい、妨害電波が働いております。......外に出た方がいいと思いますが、そしたらターゲットを逃がす可能性もあります』
「チッ、此処は鳥籠かよ......」
確かに、中原幹部の云う通りだ。いつでも抜け出せる、だがしかし私達は目的を達成することができない。
いつでも抜け出せる鳥籠に居る筈なのに、餌は鳥籠の中。
完全に、私達は敵の手のひらの上ってことだ。
嗚呼、如何して私は今更ながらポートマフィアなんて物騒な組織に入ってしまったのだろうか。
というか、あの時求人募集中何てポスターを見た自分が悪かったんだ。
だって自給一万だよ!?こりゃ入るしかないっしょ!
何て浅はかな考えでこんな闇組織に入った自分がもう嫌で嫌で仕方ない。
どうせなら一年前の自分に云ってやりたいよ、
そこロリコンと莫迦上司たちと爆弾魔と可愛い部下しかいないブラック企業だよって。
終わり←手遅れ女と悲惨な現状
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yuhs2828(プロフ) - めちゃ好きです…!更新楽しみにしてます! (2022年3月30日 22時) (レス) @page18 id: 91befa6124 (このIDを非表示/違反報告)
幻想見る主人 - 加賀さん» すみません、間違えていました。修正しておきます。ありがとうございます!楽しみですと......!?更新、頑張ります! (2019年5月26日 0時) (レス) id: 4872ed47ec (このIDを非表示/違反報告)
幻想見る主人 - 恋雪さん» ありがとうございます!面白いですって!?マジか、嬉しいです!更新頑張ります! (2019年5月26日 0時) (レス) id: 4872ed47ec (このIDを非表示/違反報告)
加賀 - 確信犯の意味間違ってますよー、面白いです。更新楽しみにしてます (2019年5月24日 6時) (レス) id: 50f98fc46b (このIDを非表示/違反報告)
恋雪 - めっちゃ面白いです…これからも頑張ってください!! (2019年5月24日 6時) (レス) id: f47a566b59 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:幻想見る主人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/buyda/
作成日時:2019年4月28日 17時