寄り道はやめよう ページ42
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電車のドアが開くと同時に走り出す。
この時間帯はラッシュと言うほどでもないがそこそこ人はいるので、ぶつからないように気を配りながらも急いで目的地を目指した。
ICカードを改札に叩きつけ、向かう先は横浜美術館。
ミミックと衝突しそうだという連絡を渋谷での寄り道中(本当はダメ)に受けた。
とりあえず人の生死がかかっているから、と叫んで抜けてきたが、完全に怪しい人だったなと思う。
車くらい速く走ったのでものの二分で現場につく。
途中地元のおじちゃんらしき人に声をかけられた。
「お姉ちゃん、美術館は六時までしかやってないよ」
「そうなんですか!ありがとうございます!!」
適当に返してそのまま美術館の敷地に入る。
ごめんおじちゃん。
中に入ると、もう既に銃撃戦は始まっていた。
おじちゃんはじめ市民の皆さんは美術館の中でこんな殺し合いが繰り広げられているとは思いもしないだろう。
私だって思わないわこんなもん。
何でこうなった?(原点回帰)
飛んで来る銃弾を重力操作で止めて、またそれを敵の方へ放てば、銃が弾かれたり腕を掠ったりしてほんの少し敵の戦力が削がれる。
しかし誰も倒れてはおらず、根本的な解決にはなっていない。
そのことに少し安心している自分にまだ正常な感覚だとさらに安心していると、上から狙撃していた敵が一斉に倒れた。
黒外套を纏った芥川さんが、悠々と歩いてくる。
敵が彼に向けて銃弾を放つも、空間断絶に阻まれた。
「銃など愚者の戎具」
そう言って、逃げ出した敵二人を一瞬で刺し殺してしまった。
「あまりにも非力」
芥川さんが此方に気づき、視線だけ向けてくる。
軽く睨まれて、目を逸らした。
「相変わらず生温いな。弱者に戦場で生き残る資格はないぞ」
「……まだ慣れてなくて」
と、同時に黒獣が飛んで来る。
実害はないが圧が怖すぎて必死にそれを避けていると、広い館内に男の声が響いた。
「貴君か。黒衣の異能力者と云うのは」
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作者名:のーと。 | 作成日時:2018年10月1日 22時