story20*不機嫌なあなた ページ23
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依頼主さんのところへ戻り、
此処で取引はもう行われないことを報告し、
事務所に戻って始末書を書き上げる。
やっと探偵っぽいお仕事が出来た私は有頂点になっていた。
…………だから、太宰さんの不機嫌に気づけなかったのかもしれない。
「………あの、太宰さん?」
「なんだい?」
「これはどのような状況でしょうか……」
太宰さんのお部屋に戻ってきた私。
先に仕事を終わらせて待っていた太宰さんは、私が上がるなり急に腕を引っ張った。
そして、何故か押し倒された。
「中也に触られたのは何処だっけ……?」
太宰さんはそう呟いて、私の髪を指に絡めた。
そうしてそのまま、1束の髪を口元に持っていき、リップ音をたててキスをした。
「え……///」
「あんなに優しい顔しちゃってさぁ。Aは私のモノなのに。」
驚き、戸惑い、羞恥心、色々な感情が渦をまく中、太宰さんはその綺麗な唇を私のおでこに当てた。
また、小さなリップ音が響く。
「だ、太宰さん///」
「ふふ、顔が真っ赤じゃないか。そんなに恥ずかしいのかい?」
指摘されれば、さらに顔の赤みは増す。
それをどうにか隠したくて手で覆おうとしても、太宰さんが指を絡めて制止する。
恥ずかしすぎて、生理的な涙が出てきた。
「ち、中也さんとは……中、悪いんですか、ぁ?」
どうにか話題をそらそうと無理に喋りかけると、太宰さんの顔が怖いくらいに歪んだ。
(ひっ!!)
「中也の名前なんて口に出さないで。その口、塞いじゃうよ?」
太宰さんの細くて長い指が、私の唇をさっと撫でる。
そして、妖艶に笑って云うのだ。
「それとも………塞がれたい?」
「っ、」
ああ、胸のときめきが収まらない。
最初はよく分からないイケメンさんだったのが、いつの間にか…………
………………いつの間にか?
「……A?」
「うそ、私…………っ///」
その瞬間、鼓動の速さが人生最高記録を優に超した。尋常じゃない熱が顔から首まで集まった。
太宰さんが、不思議そうに見てくる。
…………真逆、こんな体制で気付くことになっちゃうなんて。
「太宰さん。」
辛うじて、本当に辛うじて冷静になった私は、太宰さんを呼んで見上げた。
太宰さんと、視線が絡み合う。
「今、すっごいキュンキュンしてます!」
「……!」
そう云って私は、弱々しく微笑んだのでした。
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鈴蘭(プロフ) - ウナさん» 私も書いててひえええってなってます笑(?) (2019年4月30日 12時) (レス) id: 2e99d5c18a (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - みそしる大臣さん» そんなドキドキをお届けできているなんて嬉しい限りです(^^) (2019年4月30日 12時) (レス) id: 2e99d5c18a (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - SAKA0829093さん» ありがとうございます!ダラダラ更新で本当すみません… (2019年4月30日 12時) (レス) id: 2e99d5c18a (このIDを非表示/違反報告)
ウナ - もうヤバイですマジでもうヤバイですよ!!!!ひええええってなります(?) (2019年4月3日 19時) (レス) id: 0bc8f10023 (このIDを非表示/違反報告)
みそしる大臣 - 夢主より僕の方が早くキュン死にしそうだ…心臓が持たない! (2019年3月30日 23時) (レス) id: 487407bef1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鈴蘭 | 作成日時:2018年5月25日 1時