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ーーー


なんでここに、なんてそんな言葉ですら口から出なかった。

ただリスナーなのか、女の子に囲まれて困っているようで顔はかなり戸惑っていた。まふくんはあんまり女の子に囲まれるのは得意じゃないのに。

助けなきゃ、なんて思ってしまう。

けれど、ここで出ていったらバレてしまうかもしれない。そう思うと、上手く足は進まず彼の元へと行こうとしても躊躇ってしまう。

……でも、やっぱりまふくんを放ってはおけない。

思考がぐるぐると回り始めた。



『……茜、ごめん』



茜「え……?」



やっぱり、無理だった。

私は茜に一言だけ残して彼のいる方へとできる限りの速さで走った。

彼は、女の子が少し苦手なだけで女性恐怖症という訳でもないのは分かっている。でも、それでもまふくんがその事で苦しんでいる姿は今までも沢山見てきたから。

だから、私は嫌だった。

助けを求めるように周りを見渡す彼に、助けの手を差し伸べる人物は1人としていない。困っている素振りは分かりやすい程に出ているのに誰も見向きもしないのだ。

その人々の中を縫って多少無理矢理間の中に入ると、私は中心にいる彼の手首を掴んで引き寄せた。



『っ、こっち……!!』



ま「え……っ?!」



急に手を引かれたせいで驚いた声を上げたまふくんだったが、抵抗はしなかったのでおそらく私が助けようとしていた事を汲み取ってくれたのだろう。

一先ず人気の少ない道にまで出て、それからぱっと手を離すと、そこには走ったせいか肩を上下させて頬を赤く染めた彼がいた。

白髪が通り抜けた風によって揺れる、白い髪は今も現在なのか、彼らしい。



ま「あ、ありがとうございます……助けて、貰っちゃって、」



『あ、いえ……』



今が暗異時間帯でよかった。

声を変えれば、乗り切れるかもしれない。そう思った私は声を変えてまふくんの言葉に返事をした。

だが、彼からの反応は返ってこない。

不思議に思ってまふくんの瞳を見つめ直すと、彼は途端に顔を赤くしてから私の両手をとった。

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彩花/ayaka(プロフ) - 更新楽しみにしております。 (2022年8月18日 9時) (レス) @page28 id: cbcf5b3031 (このIDを非表示/違反報告)
或世(プロフ) - 更新もう無いですか??? (2022年1月10日 23時) (レス) @page28 id: 8e7d4db9f1 (このIDを非表示/違反報告)
結衣(プロフ) - 初見です!あの…途中泣きました(っω<`。)そらるさん…(泣)ずっとそらるさんだけ残っていたんだ…やっぱりそらるさんは優しいな(っω<`。) (2021年12月27日 1時) (レス) @page28 id: 627a75f878 (このIDを非表示/違反報告)
半チャーハン大盛りで - 続きがめっちゃ気になりはる…更新もうやめてしもうたんかな…? (2021年12月20日 23時) (レス) @page27 id: f51034a641 (このIDを非表示/違反報告)
霧雲@こたぬき - 何度見てもええ話やなぁ、泣ける。。。続き楽しみにしてますねぇー!(関西弁続きだとは・・・) (2021年9月26日 1時) (レス) @page27 id: d5c18e25b2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:シュリンク&starlily x他1人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年5月6日 0時

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