09 チョコレート�� ページ9
「いらっしゃいませ……あ、オニーサン」
「こんばんは」
「なんだか久しぶりの来店ですね」
「ちょっと忙しくて」
ライブで少し多忙な時期だったため、久しぶりの来店になってしまった。こう言うと本格的に客と嬢みたいになるので、深く考えるのはやめようと思う。
夕飯を食べてないので、店長ちゃんにお任せで料理を頼んだ。マスターにもお任せで。
「はい、豚の生姜焼きです」
「えっ」
「ちゃんとメニューに加えたんですよ」
ふふん、と得意げに口角を上げる店長ちゃん。なんだこの可愛さは。
……これは、今ではないか！？今だな！
「あ、そうそう」
なんて態とらしく言ってカバンを漁る。そここら取り出したのは、小さめの紙袋だ。カバンの中に入れていたから袋自体は少し折れ曲がっているが、逆に重たさは無くなって良いだろう。
「これ、店長ちゃんに」
「え、私に？」
袋は有名な高級チョコレートショップのものではあるが、数個のトリュフが入ってる小振りのものを選んだのでそこまで本命感はないだろう。店から滲み出てしまう可能性があるが、これは「料理をする店長ちゃんだから下手な店は辞めとこうと思ったんだよね〜笑」とか「知り合いがいてさ〜笑」で切り抜ける作戦だ。
「先月は生チョコサービスしてもらっちゃったからね」
「……でも、オニーサン恋人いるのに、別に無理しなくても」
「へ？恋人？」
「え、この前デパ地下に彼女さんと居ましたよね？たまたま見掛けちゃって」
「…………あ、いや！彼女じゃない！それ俺の友達の彼女！それ選ぶの手伝ってもらってた！」
「ふふ、そこまで悩んでくれたんですね〜」
「あ！」
墓穴。完全に墓穴。自然を装ってアレコレしてたのが恥ずかしい。でもまさか、FBがスマホを取りに行っているあの間をピンポイントで目撃されていたとは思わなかった。
でもまぁチョコも過程もとりあえず店長ちゃんが嬉しそうだから、俺のホワイトデーは成功で良いだろう。
「ていうか、そんな勢いよく否定しなくても」
「……だって、店長ちゃんには誤解はされたくないから」
「あはは！あと先月のチョコ、オニーサンにしか出してないですからね」
「エッ」
「この店のチョコ美味しいですよね、嬉しいなー」
「あ、うん…えと」
「生姜焼き、冷めちゃいますよ」
そう言われ、とりあえず箸を持つ。
生姜焼きを食べて、一旦冷静になろうと思う。
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サナダ(プロフ) - みずいろPさん» コメントありがとうございます。身に余りますが、お褒めの言葉をくださりありがとうございます！かけ離れすぎないように悩みながら書いているので、そう言って頂けて本当に嬉しいです！緩やかなペースで更新を続けて行きますので、暇潰しにでもしてくださると幸いです。 (2020年5月3日 1時) (
レス) id: 223c7a8324 (このIDを非表示/違反報告)
みずいろP(プロフ) - 夜分遅くにコメント失礼致します。彼らの喋り方の癖や性格までそのまま書かれているすごく自然で素敵な文章だったので、思わずFBさんの作品からこちらまで一気読みさせていただきました！これからもどうか作者様のペースで作品更新していただけたらとっても嬉しいです。 (2020年4月25日 1時) (レス) id: ebeb97e457 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さなだ | 作成日時：2019年8月19日 1時
