08 チョコレート ページ8
「オニーサン、よかったら」
「んえ」
目の前にコトリと置かれた白い小皿。その上には石畳状の四角いチョコが数個並んでいた。これは、もしや、生チョコというやつでは？なんせ今日はバレンタインデーである。
驚き半分で店長ちゃんの顔を見れば、にこりと微笑まれてしまった。平然を装いながら、刺さっている爪楊枝をつまみ、一つ口の中に入れる。ふわりと広がる紅茶とラム酒の風味がアクセントになっており、とても美味い。
「うま……」
「良かった」
「お菓子も作るんだ」
「今日だけですよ。でも、オニーサンはかっこいいから沢山貰ってるでしょう？」
「かっ、ま、まーね！」
「ふふ」
薄々気付いていたが、彼女は言葉を躊躇しない。他人を褒める言葉は特に。それに何度ドキッとさせられたか。
そんなことがあった日から1ヶ月。
「お返し、を、用意したいんだけど……」
「「うんうん」」
相棒であるお喋りサングラスことFBくんとその彼女。本命寄りのお返しなんて今までまともに考えたことがなくて、あれこれ考えていると3月が終わってしまう可能性があったために相談者を用意した。うん、賢い。
「FBくんはいいよ、恋愛経験なんて1回しかないんだし」
「んだとコラ！これが最初で最後じゃ！」
「……お前ほんと天然だよな」
「ふぶちゃんのこういうとこ可愛いよね」
下心なしでこんなこと言われたら、彼女からしたら普通に嬉しいだろうな。むかつくわぁ。
「で、なんだっけ？」
「うーんと、相手はサービスでくれただけだろうから、お返しとか重くない？」
「ご飯屋さんなんだっけ。その日限定のデザートサービスみたいな感じだったの？」
「いや、よかったらって感じだった」
「じゃあ詳しくは分からないね。でもなんとなく、誰彼構わず出してたワケじゃないと思う」
「……そうだといいけど」
「渡してみたら？あくまで自然に！」
∵
「本当に助かった！」
「ううん、気にしないで」
結局、お返しを選ぶところまで手伝って貰ってしまった。FBはデパ地下のトイレにスマホを忘れたとか行って取りに戻っているが。
「やっぱりバレンタインデーはチョコ？」
「私？私はチョコだったりチョコ以外のお菓子だったりするかなぁ。職場には毎年クッキーだけど」
「……あいつもやっぱりお返しとかすんの？」
「あぁ、毎年してくれるよ。デパ地下のお菓子、あとウケ狙いとか、料理作ってくれたり色々」
「はえ〜、ちゃんと彼氏してんだ」
「え、なに、俺の悪口？」
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サナダ(プロフ) - みずいろPさん» コメントありがとうございます。身に余りますが、お褒めの言葉をくださりありがとうございます！かけ離れすぎないように悩みながら書いているので、そう言って頂けて本当に嬉しいです！緩やかなペースで更新を続けて行きますので、暇潰しにでもしてくださると幸いです。 (2020年5月3日 1時) (
レス) id: 223c7a8324 (このIDを非表示/違反報告)
みずいろP(プロフ) - 夜分遅くにコメント失礼致します。彼らの喋り方の癖や性格までそのまま書かれているすごく自然で素敵な文章だったので、思わずFBさんの作品からこちらまで一気読みさせていただきました！これからもどうか作者様のペースで作品更新していただけたらとっても嬉しいです。 (2020年4月25日 1時) (レス) id: ebeb97e457 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さなだ | 作成日時：2019年8月19日 1時
