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03 とあるBARにて ページ3

「いらっしゃいませ」


オムライスを食べた日から数日、週末の夜はBARになるというあのカフェへ足を運んだ。明るかった照明は間接照明に切り替えられ、ジャズ系の音楽が流れている。随分と雰囲気が変わったようだ。
店内は結構賑わっており、テーブル席にもカップルと思わしき男女が数組お酒を楽しんでいる。

カウンターに立つマスターは、背が高くすらっとした物腰の柔らかそうな男性だった。


「何にします?」
「じゃあ、ジントニックで」
「かしこまりました」
「あの、」
「なんでしょう?」
「昼間のカフェの、店長は…」
「ああ、彼女なら」


すっと指をさした先には、ピアノが置いてあった。こちらからは死角になって見えないが、演奏者の頭が少しだけ見えた。
いや、そもそもこのBGMって生演奏だった訳?


「え、店長?」
「はい」


マスターはにこりと笑って、俺の前にグラスを置く。
驚きながらグラスに口をつける。……あ、くそ、美味えな。生のピアノで奏でられるジャズもまた。……良い店を見つけてしまった。


「A、お客さん」


その名前にピクリと反応してしまう。1曲演奏し終えた店長がカウンターの中に入って来た。


「あ、オニーサン!来てくれたんですね」
「だってさ、来ないわけには行かないじゃん?」
「あはは、ありがとうございます」
「マスターの酒も美味いしさ」
「良かったね」


店長はマスターを肘で小突く。
……さっきから思ってたけど、この2人の距離感。


「……2人は、そういう?」
「「そういう?」」
「ぴったりじゃん」
「あ、いやいや、オニーサン!やめてください!」


手をヒラヒラと振り、否定する店長。
きっと何回も聞かれた質問なんだろう。


「この人、実の兄です」
「へあ?」
「ちなみに彼は日中はここの近くの会社で働いてます」


こっそりと囁くように伝えられた言葉に、変な声が出る。他のお客さんには内緒ですよと言われ、理由を聞けば職業柄酔っ払いや変な男に絡まれることもあるようで、そういう時に便利なのだそうだ。


「なるほど、頭良い」
「でしょ」


えへへと笑う彼女に、心のどこかでホッとした自分がいた。
ん?なんでホッとしてんだ。

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サナダ(プロフ) - みずいろPさん» コメントありがとうございます。身に余りますが、お褒めの言葉をくださりありがとうございます!かけ離れすぎないように悩みながら書いているので、そう言って頂けて本当に嬉しいです!緩やかなペースで更新を続けて行きますので、暇潰しにでもしてくださると幸いです。 (2020年5月3日 1時) (レス) id: 223c7a8324 (このIDを非表示/違反報告)
みずいろP(プロフ) - 夜分遅くにコメント失礼致します。彼らの喋り方の癖や性格までそのまま書かれているすごく自然で素敵な文章だったので、思わずFBさんの作品からこちらまで一気読みさせていただきました!これからもどうか作者様のペースで作品更新していただけたらとっても嬉しいです。 (2020年4月25日 1時) (レス) id: ebeb97e457 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さなだ | 作成日時:2019年8月19日 1時

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