02 とあるカフェにて ページ2
お昼時も過ぎているせいか、客と店員は俺たちしか居なかったからこそ言えた提案ではある。
一瞬きょとんとした彼女は、可愛らしく吹き出してから「いいんですか?」と言った。
……あ、オーケーなんだ。
「他にお客様もいませんし、今の時間帯は従業員も私1人だけなので」
「オネーサン、ノリいいっすね」
「良く言われます」
ネームプレートを見れば、彼女がこの店の店長さんだということが分かった。
「Aサン」
「はい」
「いや、いい名前だと思って」
「あはは、ありがとうございます」
彼女はパタパタと店の外に出て行った。その姿を窓から見ていれば、店の扉に掛かっているプレートをひっくり返していた。きっとopenからcloseに変えたんだろう。
流石店長さんと煽れば、彼女はえへんと腰に手を当てる。
「冷めないうちにどうぞ」
「あ、いただきます」
∵
「ごちそうさまです」
「はい、お粗末様です」
「美味しかったですよ。ケチャップ、これ普通のじゃないでしょ」
「分かりますか?そうなんです。知り合いの農家さんからトマトを直接仕入れて、オムライスに合うようにうちで作ってるんです」
「へ〜!こだわってますねぇ」
「看板メニューですから」
軽やかなテンポで進む彼女との会話はとても心地よいものだった。俺の話にも興味深そうに耳を傾けてくれるからだろうか。
「そろそろお会計、お願いしようかな」
「はい。では、1500円です」
「え?いや、そんなことなくない?」
提示された値段に首をかしげる。こっちはオムライス2つとドリンクも2つ注文してるのだ。そう言えば、彼女はにこりと笑ってこう言った。
「いいえ、オニーサンとのお話とても楽しかったので」
「でも」
「先ほどのご友人の恋が叶ってたら、またお店に来てくださいね?」
「……こんなのアイツ関係なしに来ない選択肢ないじゃん!店長さん、ずるい女だねぇー」
「ふふ、よろしくお願いします」
にこやかな笑顔で店先まで見送ってくれた彼女に緩く手を振る。
あーあ、なんというか、色々とやられたな。うん。
これはFBに感謝しなくちゃいけないかもしれん。いや、おあいこということにしよう。
彼女の話だと、週末限定で夜はBARになるだとか。
「行かない選択肢こそないよなぁ」
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サナダ(プロフ) - みずいろPさん» コメントありがとうございます。身に余りますが、お褒めの言葉をくださりありがとうございます!かけ離れすぎないように悩みながら書いているので、そう言って頂けて本当に嬉しいです!緩やかなペースで更新を続けて行きますので、暇潰しにでもしてくださると幸いです。 (2020年5月3日 1時) (レス) id: 223c7a8324 (このIDを非表示/違反報告)
みずいろP(プロフ) - 夜分遅くにコメント失礼致します。彼らの喋り方の癖や性格までそのまま書かれているすごく自然で素敵な文章だったので、思わずFBさんの作品からこちらまで一気読みさせていただきました!これからもどうか作者様のペースで作品更新していただけたらとっても嬉しいです。 (2020年4月25日 1時) (レス) id: ebeb97e457 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さなだ | 作成日時:2019年8月19日 1時