呪術廻戦〜貳爪探し〜

仲間 ページ50

あちこち回って五条先生を探すが､どこにも見当たらない

他の職員の人も知らない､の一点張りだ

…せめて七海さんでもいてくれれば

その時､突き当たりを曲がろうとして黒い影とぶつかりかけた

「…あれ､紅莇 任務は終わったのか？」

そこに居たのは部屋着を身にまとった伏黒

狗巻先輩よりも怖いと感じていた同級生だ

言葉数の少ない男性を相手にしていると､どうしても緊張してしまう

『うん…そうだ 伏黒君は何処かで五条先生見なかった？』

「五条先生ならさっき学長の所に行くとか言ってたな」

学長か…

それだったら学長室に行けばいるかな

『分かった ありがとね 伏黒君』

そう言って私はその場を後にしようとした

「…でいい」

『え？』

声が小さくて聞き取れなかった

私は首を傾げて聞き返す

「…だから､伏黒でいい わざわざ敬称をつけてたら任務に支障をきたすかもしれない」

そっか…確かに､意思の疎通に敬称をつけてたら煩わしいな

『…その時が来たらそう呼ぶよ じゃあね､おやすみ 伏黒君』

「…あぁ､おやすみ」

私はそのまま目を合わせずにその場を後にした

いつまで逃げるつもりなんだろうね

仲良くなるのが怖いとは言わない

ただ…失った時が辛くなるだけだから

関係が濃くなればなるほど…


そうこうしてるうちに､学長室へ着いた

扉をノックして中に入ると､ある3人の姿が目に入った

「あぁ､来たか」

学長､五条先生､そして七海さん

何故か五条先生は学長にヘッドロックをかまされている

その様子を何も言わず､ただ見つめている七海さん

『…どういう状況ですか？』

「いや､大したことじゃない 任務ご苦労だったな この馬鹿のせいで…」

馬鹿…って五条先生のことか

そう言えば五条先生は学長に無断で今回の任務を持ってきたとか言ってたな

きっとその件でシメられていたんだろう

「大丈夫でしたか？」

七海さんは淡々と私に質問を投げかける

抑揚のない声だったが､本心から聞いてくれていることは分かった

『はい､恐らく3級…高く見積もっても2級程度の呪霊でした 呪具の消費もほぼ0で…』

「…そういうことじゃないんですがね」

最後まで報告し終わらないうちに､七海さんは深く溜息をついた

「…近いうちに交流会を控えているが…しばらくの間､休暇をとっていい よく身体を休ませなさい」

学長の言葉は､確かな厚意だということは分かる

けれど､今の私には戦力外通告されたような気分だった





続く

この小説の続きへ→←闇

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す