呪術廻戦〜貳爪探し〜

闇 ページ49

…狗巻先輩と伊地知さんの車へと戻り…

その後のことはよく覚えていない

ただ､伊地知さんが物凄く慌てていたのは覚えている

私と狗巻先輩は､濡れた制服を既存の服に着替えた

その過程が､中々大変だったことは言うまでもない

メンツに女子がいるというだけでそういうことも含めて気を配らなければいけない

高専に着いた私は､誰もいない教室で先生に提出する報告書を書く

本当に…何も書くことがなかった

『…これからどうしよう』

このまま呪術師を続ける…

それが最善の選択だということは容易に判断できた

けど…

なんのために…？

私は顔の前に垂れ下がった髪をゆっくりと搔き上げる

その目に光はなく､ボウっと目の前の報告書を見つめている

…もう､いいんじゃないか？

私は十二分に頑張った

これ以上どうしろと言うんだ


…由梨の元へ逝きたい


…その時､ポケットの中にある小瓶がカタカタと震えた気がした

…そうだね

『…報告書､持っていかないと』

私は重い足取りで教室を出た

廊下をゆっくりと歩いていると､談話室の明かりがついていることに気がつく

「真希さん シールド！シールド！！」

「私の脳内辞書に守りなんて言葉はねぇ！！」

「おぉっ？！！俺パンダだからコントローラー押しづらいんだって！」

「パンダ先輩､私のプロコン壊さないでよ？」

野薔薇ちゃん達の声

恐らく談話室のテレビでゲームをしているんだろう

ヒョコっと顔を覗かせると､そこには真希さんに野薔薇ちゃん､それにパンダ先輩がスマブラをしているところだった

「うわぁあっ！！負けたぁ…」

「はっ！パンダが私に勝とうなんて3ヶ月早いんだよ」

「意外と現実的な数字ですね！」

楽しそうだ

私は少し気が軽くなった気がした

「…あれ､A！任務は終わったんだ」

「酷ぇ雨だったろ かなり濡れたんじゃないか？」

「棘はどこ行った？」

狗巻先輩は…あれ､そう言えばどこに行ったんだろう

『多分…自室じゃないですかね 報告書は私が担当ですし…』

「ほーん」

「あ､そうだ！Aも一緒にスマブラするわよ！操作方法は私が教えるわ！」

だから報告書担当だってば

『今から五条先生のところに行かなくちゃいけないから…また誘ってくれたら､喜んで』

私は苦笑いしながら早々にその場を後にした

「…あぁーッ！また断られた！！」

Aのいなくなった談話室で､何としてでも仲良くなりたいと躍起になっている野薔薇は1人叫んだ

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