呪術廻戦〜貳爪探し〜

善人の行い ページ41

〜狗巻side〜

"少しでも多くの後悔をなくしたい"

Aの言葉に､自分は恥ずかしながら僅かな感銘を受けた

…同時に､Aらしいととも思えた

恵の信念とは似ているが…ソレとはまるで別の物に思えてしまう

…1年生はこんなにも深く､呪術師としての意義を考えているというのに

対して､自分は…呪言師の末裔というだけで人生は決められていた

自らの意思で…動くことなど出来はしない

…これ以上はやめておこう

自分で自分の首を絞めるなんて二度とごめんだ


──

…気がつくと､その場には自分だけが残されていた

Aはとっくに屋敷を出たらしい

…結局､自分には何も出来なかった

自分なんかより､真希と行動した方が良かったんじゃないか…

そんなことを考えていても､もう遅い

…悟に報告しておこう

自分は階段を上がりながらポケットからスマホを取り出して悟へ通話をかける

«…は〜い もしもし？どうだった？»

「…高菜 明太子」

スマホ越しと言えど､呪言は相手に通用するため自分は語彙を絞って報告をする

悟とはまぁまぁ長い付き合いなので､表情を見ずとも何を伝えようとしているのかは察することが出来る

«そっか…祓えたけど､やっぱりダメだったか…»

「しゃけ すじこ…」

何も出来なかった

自分は反省の意を込めて悟に謝罪する

«棘は悪くないよ …相手が弱すぎた 今までの間､友人を失った責任を呪霊という存在が薄れさせてくれてたんだろうね»

友人を失った…？

«あ､これ言っちゃダメなんだった！»

…

悟の手に掛かったら個人情報もクソもない…

«…ま､それに加えて 友人が殺されたのは自分のせいだって思ってる節があるからね 罪を償うにしては､呪霊が弱すぎたせいで贖いきれなかったんでしょ»

…なんとなくだが､事情は大体把握出来た

«今後…どうするかちゃんと話し合って決めないとねぇ…»

「高菜」

自分は一通り伝え終わった後､通話を切った

屋敷の外へ出たが､そこにもAの姿はない

恐らく伊地知さんのところに戻ったのだろう

自分も後を追おう

今の状態のAを1人きりにするのは少々不安だった

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