呪術廻戦〜貳爪探し〜

私の呪物 ページ5

「…あれ､その子どうしたの？」

五条先生と呼ばれた男性は､悠仁…とかいう少年に抱えれている私に気がついたようだ

Aは反射的に身体をビクリと震わせた

心の底から這い上がってくる恐怖

その感覚は段々と強さを増していく

「なんか知らんけど…あの呪霊に狙われてるっぽくてさ､下手に近づいたら危ないだろうから…って､どうかした…？」

私は必死に悠仁の袖に縋りついた

敵意はまるでない 命の危険も感じない

なのに何故…

「ヒュ〜…」

その様子を見た五条は茶化すように口笛を吹く

「え､えっと…」

悠仁は頬を赤らめながら困ったように頭をかいた

『…ごめんなさい けど､今だけでいいから…』

…この人からは､何も感じない

いや､正確には2つの存在感がぶつかり合って中和しているような…そんな雰囲気がした

「悠仁〜モテモテじゃあん まっ僕ほどじゃないけどね」

そう言いながら､五条は飛びかかってきた呪霊に一発蹴りを浴びせた

「空気読めよ 今は僕が喋ってんだよ」

その一撃で呪霊は簡単に吹き飛ばされる

「…いイ"ッしょ二"…シ､ししノう…」

…呪霊はそう言い､Aに腕を伸ばす

だがその腕はAに届くことはなく､五条に踏みちぎられた

「グぁ…ッ」

呪霊は塵となって消えた

何事も無かったかのように…その場には静けさだけが残る

「よし 任務完了っと」

「どう？立てる？」

私は悠仁の腕から離れ､地に足をつけてみる

『わっ…』

「あっ！」

「おぉっと危ない」

バランスを崩し､前のめりに倒れたところを五条が片腕で支える

その時には既に恐怖感は消えていた

さっきは何故あんなにも恐怖を覚えたのだろう

「脳震盪だね 少し休んだ方がいい」

五条はそのままAを柱に寄りかからせて座らせる

『…ありがとうございます』

「いいってことよ …それにしても君､変わった物持ってるねぇ」

彼が何のことを言っているのか､私は直ぐに理解した

…流石に"コレ"は見せられない

「…あの呪霊はこの路線で自ら命を絶った奴らの負のオーラから生まれた呪霊だ …君はそんな奴に狙われるような行動した？」

「えっ､それって…」

この時私は全てを理解した

"消えてなくなりたい"

そう思ったのは事実だ

スマホに打ち込んでいるのを見られたのだろう

『まぁ…そんなところです』

私は少しはぐらかしたように答えた

「ふむ…しかしまぁ､君がコレほどの呪物を持っていながら､なんの影響も出てないことの方が興味深いねぇ」

爪と御札→←最強､ 最恐

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