最強､ 最恐 ページ4
迫り来る電車
時が止まったかのように遅く感じる
…あぁ､こんな呆気なく死ぬのか
大して面白い人生でもなかった…死を願ったこともあった
確かに､私は消えたいと願ったよ
だけど…これは私の望む終わりではない
こんな形で死にたくない…！
私はギュッと強く目を瞑った
ドンッ
衝撃を感じた
しかし想像していた物とまるで違う
痛み､恐怖､苦しさ…何も感じない
電車にぶつかるというのはこんなにも…温かいものなの…？
「大丈夫？」
…状況に合わない軽い声
ゆっくりと目を開けると､薄い茶色の短い髪をした少年がいた
私を片腕で軽々と抱き､もう片方の手は天井から伸びているパイプをしっかりと掴んでいる
両足を壁につけ､窮屈な体勢とは思えないほど彼の身体は安定していた
『この声…さっきの…』
「ごめんな 話は後で まずは彼奴をぶちのめさねぇと」
少年は私に優しく微笑んだ後､キッと化け物を見つめる
その化け物は悔しげに顔を歪ませる
「グ…ググ…がガ…」
「へっ､思い通りに行かなくて腹が立ってるって顔だなぁ！」
少年はタンッと軽い動きでホームへ飛び移った
アスリートのよう…と言えば聞こえはいいが､まるで猿のようだった
「こゴろ"す…タスげゲゲルル…ッ！！」
化け物が私達に向かって突進する
異常なまでのジャンプ力で私を抱いたまま少年は飛び上がってそれを躱す
私は既に…この人に縋るしかなかった
「殺す？助ける？！お前の言ってること全部矛盾してんだよ！！」
少年は攻撃を躱すばかりで全く反撃に転じない
少し焦っているようにも見えた
それは何故か
…直ぐに理解出来た
"私"がいるせいだ
あの化け物の狙いは私
そんなAを抱えながら戦うのは明らかに不利だ
…また…また私のせいで…ッ！
化け物の攻撃が少年の足を掠める
「うわっ…！」
少年が体勢を崩した
その瞬間を待っていたかのように化け物は少年の脳天へと腕を振り下ろす
嫌だ…ッ！！
…その時､空気の張り詰めるような感覚がした
私が今まで生きてきた中で､感じたことのないような…強大な存在感
其方に恐る恐る首を動かす
そこにいたのは…白髪に黒い目隠しをした男性だった
ゆっくりと此方に歩いてくる
いや…そんなこと今はどうでもいい
ただ､その男性からは死の恐怖を無理矢理刻み込まれるような…私の中にある本能が逃げろと叫んでいた
「五条先生！」
「やっほー悠仁 調子どう？」
どうやらこの2人は知り合いのようだった
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セイ - コメントありがとうございます！前述した通り､私文章を賞賛されることがすっごく嬉しいです…！これからも読んで下されば幸いです (2021年3月8日 23時) (
レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
庭にワニ - この作品がすごく好きです！表現から使う言葉からとても小説然としていて、もっとたくさん貴方の文が読みたくなりました。応援しています。 (2021年3月8日 14時) (レス) id: b2acb73c6a (このIDを非表示/違反報告)
セイ - 狗巻先輩推しなのバレちゃいましたか…えへ文章力で褒められるの少ないのですごい嬉しいです ありがとうございます (2021年3月2日 23時) (レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
ロビン - 最近の更新で主様が狗巻推しなのめっちゃ伝わる、、笑これって狗巻と夢主ちゃんがくっつくＥＮＤってありますか？？いつも更新ありがとうございます！主様の表現の仕方で場面の状況が簡単に想像できるの本当にすごいです、、、 (2021年2月28日 23時) (レス) id: 955356ab25 (このIDを非表示/違反報告)
セイ - 待って待って自分がめちゃくちゃ考えた所アッサリバレてるの恥ずかしすぎる…もっと難しくしよう… (2021年1月31日 23時) (レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：セイ | 作成日時：2021年1月15日 3時
