屋敷のお社 ページ38
『…此処です』
「高菜」
私達の目の前に聳え立つ屋敷
高専に来てから凡そ2週間…
それだけでも、この呪力の気配を悟ることは出来るようになった
「こんぶ ツナマヨ」
『そうですね 行きましょう』
KEEP OUTと書かれた黒と黄色の立ち入り禁止テープを避け、中に入る
『現場は此処の地下です 恐らくそこに呪霊がこびりついてるんだと思いますよ』
「いくら…」
中はジットリとした空気に包まれ、息苦しいとさえ思えた
それが呪霊の影響なのか…それとも私の精神的な問題なのかは分からない
『…こんな、高専に来てすぐの私が…ちゃんと倒せるんですかね…この2週間、受けた任務と言えば四級以下の雑魚呪霊ばかりでしたし…』
地下への階段を降りながら、私は後ろを歩いている先輩に…不安げに問いかけた
「しゃけ、いくら」
まるで、当然だ とでも言いたげに私の肩を軽く叩く先輩
…高専の人達は皆優しい
私も、好意に簡単に甘えるわけにはいかない
『…ありがとうございます』
屋敷の地下
辿り着いたその場所は…1か月前とまるで変わらない、崩れた瓦礫に滴る水滴…その中に、ポツンと突っ立っている"お社"が不気味さを際立たせている
目の前で死んでいた由梨の悲壮な表情がフラッシュバックして吐き気がした
『…いますね』
「しゃけ」
この部屋全体から呪力の気配がするせいで、何処にいるかは皆目見当もつかない
私は警戒しながらも、お社に近づいて…手を合わせた
空気の止まった感覚がする
私はその空気の中、お社の小扉を引いた
指先で摘んで、軽く引っ張ったつもりが簡単に壊れてしまう
…ボロボロだ 今までよくもまぁ崩れずにいたな
中を覗き込むと、何か白い布切れのような物がポツンと置いてあることに気がついた
手を伸ばし、それを掴んで引っ張り出した
長い間放置されていたのか、埃を纏っていて汚れている
「高菜?」
『ヘアバンド…みたいですね 千切れてますけど』
元は白かったであろう、そのヘアバンドは湿気に…長い年月を経たせいかシミが目立つ
それに…
『うわ…血がついてる』
気味が悪い
私がソレを中に戻そうとしたその時…
「バぁぁ"」
お社から呪霊が、目のない顔らしき物を突き出す
お社に向かって伸ばされていた腕を喰いちぎろうとしている瞬間だった
『…ッ!』
「«止まれ»ッ!!」
狗巻先輩の呪言に、呪霊はビタッと動きを止める
私は慌てて腕を引いて後ろへと後退し、ヘアバンドをそのままポケットに押し込んだ
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セイ - コメントありがとうございます!前述した通り、私文章を賞賛されることがすっごく嬉しいです…!これからも読んで下されば幸いです (2021年3月8日 23時) (レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
庭にワニ - この作品がすごく好きです!表現から使う言葉からとても小説然としていて、もっとたくさん貴方の文が読みたくなりました。応援しています。 (2021年3月8日 14時) (レス) id: b2acb73c6a (このIDを非表示/違反報告)
セイ - 狗巻先輩推しなのバレちゃいましたか…えへ文章力で褒められるの少ないのですごい嬉しいです ありがとうございます (2021年3月2日 23時) (レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
ロビン - 最近の更新で主様が狗巻推しなのめっちゃ伝わる、、笑これって狗巻と夢主ちゃんがくっつくENDってありますか??いつも更新ありがとうございます!主様の表現の仕方で場面の状況が簡単に想像できるの本当にすごいです、、、 (2021年2月28日 23時) (レス) id: 955356ab25 (このIDを非表示/違反報告)
セイ - 待って待って自分がめちゃくちゃ考えた所アッサリバレてるの恥ずかしすぎる…もっと難しくしよう… (2021年1月31日 23時) (レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セイ | 作成日時:2021年1月15日 3時