呪術廻戦〜貳爪探し〜

響く警笛 ページ3

飛んだガラスの破片が頬に刺さり､ツゥ…と血が流れる

「うわ､なんだ今の音」

「ガラスが割れたみたい」

「マジかよ…石でも投げられたんじゃねーの？」

周りの反応を見て､私は軽い絶望感に囚われた

この人達には見えてない…？

「…！悪い､通してくれ！！」

先程､通話をしていた高校生の声が近づいてくる

しかし今はそんなこと気にもならなかった

その時電車が駅に着き､キキー…ッと歯ぎしりするような金切り声を上げながら止まった

「いイイ"ッッ…しょ"ョに…死しのの"ノ"う…？！」

『…嫌に決まってんでしょうが』

私はそう不敵に笑い､扉が開くと同時に地下鉄の駅のホームへ飛び出した

全速力でだだっ広い駅を走る

チラリと後ろを振り返ると､獣のように叫びながら化け物が追いかけて来ているのが見えた

クソ…そりゃあ見逃してくれるわけないよね…！

「キャッ…！」

「おい！危ねぇだろッ！」

途中､若い2人組のカップルにぶつかった

私は謝る暇もなくそのまま逃げ続ける

…だけど追いつかれるのも時間の問題だろう

兎も角､今は走れ

陸上部なめんな…ッ！！"元"だけど…！

ペースを上げ､化け物と少し距離ができたその時

「おおっと危ない…！」

駅員らしき男に腕を掴まれた

『ちょっと…ッ！離して！！』

「お嬢ちゃん…此処で走るのは危ないよ 中学？高校？まぁ話は後で聞くから…」

そうこうしてるうちに化け物が来てしまうだろう

私は駅員に腕を引っ張られる中､後ろを振り返った

その視界は…化け物に覆い尽くされている

気がついた時には既に手遅れだった

『…ッ』

私の身体は軽く吹き飛ばされ､白く四角い柱に勢いよくぶち当たった

『う…ッ！！』

頭に直撃だ

残された駅員は訳も分からずボウッと突っ立っていたが､直ぐに腰を抜かしてガタガタと歯を鳴らす

「な…な…なんだこの化け物…？！！」

駅員は突如現れた化け物に為す術もない

化け物はそんな駅員に目もくれず､私の元へ凄まじい勢いで這いずりよってくる

頭がクラクラして立ち上がれない

激痛の走る頭に右手を持っていく

その右手に視線を移すと､赤黒い血に染まっていた

あぁ…終わったな

化け物は私の髪を掴み､軽々と持ち上げる

その時､別の線路から電車が向かってくるのが見えた

化け物はニチャア…と気味の悪い笑みを浮かべた後､私をその線路に向けて思い切り投げつける

ファァァァアアアン…ッッ！！！

広い地下鉄に大きな警笛が響き渡った

最強､ 最恐→←地下鉄の満員電車

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