親の形 ページ10
下ろした受話器をもう一度上げ、ポチッ…ポチッ…とある番号へ電話をかける
«はい、此方××地区 通信司令センターです»
私が押したのは110番
そりゃあ母の死体を放置する訳にも行かないだろう
『…自宅で母が死んでます 住所は…はい、はい…分かりました』
数十秒程で電話は切れ、意外と呆気ないな 等と考えながら私はダイニングの椅子を引いて座った
死んだ母がジッと此方を見ているような気がした
『…何?また私の所為っていうの?』
面倒見きれない
私は幼少期、母方の祖父の家で過ごしていた
母の仕事が大分落ち着いた辺りから一緒に暮らすようになり…その瞬間から私の人生は崩れるように出来ていたんだろう
最初は優しかったんだと思う
ある時から母の仕事仲間を名乗る男性がよく家に上がり込むようになった
私もよく遊んで貰ったよ
けれど…母が其奴によく金を渡しているのを見ていた
所謂ヒモって奴だな
その男も見かけなくなったある日
私がいつも通り学校での出来事を母に笑って話した時…
"アンタは良いよね 働きもせず好きなことできて"
最低でしょ?まだ物も分からない子供に言うことじゃない
今までアンタに使った金を返せやら…○○君にフラれたのはアンタのせいだ…とか
そんな事を言い出したかと思ったら"私の味方はAだけ" "大好きだよ だからママを裏切らないでね"
究極の飴と鞭…もう私も洗脳されてたんだろう
あの時から祖父の所に逃げてれば良かったな
そんな祖父も数年前、老衰で亡くなった
もう逃げ場は既になかった
ピーンポーン…
…どうやら来たみたいだ
『はーい』
私は玄関に出て扉を開ける
「…○○警察です Aさんでよろしいですね?」
そこに居たのは警察官が2人と婦警が1人
パトカーの音が段々と近づいてきている事から、また大勢来るだろうということが伺えた
『はい どうぞ上がってください』
私は笑顔で警察官達を迎え入れた
その様子を見た警察官は訝しげに顔を歪ませる
…今更どう思われようと勝手だ
3人を迎え入れ、私は外に出てマンションの下を見下ろす
『うわ…パトカーがいっぱい…こんなに要らないのにな』
パトカーから降りたスーツのおじさんが上を見上げ、私と目が合う
服装からしてまあまあ高い地位の人だということを何となく察した
なんだか気まずくなり、私は部屋に戻った
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セイ - コメントありがとうございます!前述した通り、私文章を賞賛されることがすっごく嬉しいです…!これからも読んで下されば幸いです (2021年3月8日 23時) (レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
庭にワニ - この作品がすごく好きです!表現から使う言葉からとても小説然としていて、もっとたくさん貴方の文が読みたくなりました。応援しています。 (2021年3月8日 14時) (レス) id: b2acb73c6a (このIDを非表示/違反報告)
セイ - 狗巻先輩推しなのバレちゃいましたか…えへ文章力で褒められるの少ないのですごい嬉しいです ありがとうございます (2021年3月2日 23時) (レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
ロビン - 最近の更新で主様が狗巻推しなのめっちゃ伝わる、、笑これって狗巻と夢主ちゃんがくっつくENDってありますか??いつも更新ありがとうございます!主様の表現の仕方で場面の状況が簡単に想像できるの本当にすごいです、、、 (2021年2月28日 23時) (レス) id: 955356ab25 (このIDを非表示/違反報告)
セイ - 待って待って自分がめちゃくちゃ考えた所アッサリバレてるの恥ずかしすぎる…もっと難しくしよう… (2021年1月31日 23時) (レス) id: 8e72f4c5b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セイ | 作成日時:2021年1月15日 3時