呪術廻戦〜貳爪探し〜

大事な後輩 ページ46

〜狗巻side〜

伊地知さんの元へ着いた自分は､後部座席を覗き込んだ

…いない

伊地知さんは仮眠を取っていたようで､アイマスクをして眠っていた

フロントガラスを軽く叩くと､伊地知さんは勢いよく飛び起き､アイマスクが斜めにズレる

そして自分に気づくと大慌てで車のロックを開けた

悟の理不尽に耐えてきたせいか…伊地知さんは少しこういうところがあるんだよな

「す､すみません！！少し昨夜は五条さんに雑務を押し付け…い､いや違います！その…五条さんには上申しないで頂けると…」

「…すじこ」

不憫すぎる…

自分は告げ口はしない､と心の底から伊地知さんに誓った

「…おや､紅莇さんは…？ご一緒では…」

「おかか いくら？」

自分の言葉に伊地知さんは首を傾げる

スマホを取り出して文章にしよう

そう思ってポケットからスマホを取り出すと､丁度その瞬間Aからメッセージの着信があった

"少し寄りたいところがあるので戻れません 高専へ先に帰って下さって構わないです 帰りはタクシーでも拾って帰ります"

どこか安心しながらも､どうしたものかと自分は少し悩んだ

流石にこの時間帯…女子1人で夜道を歩くのは危ないだろう

呪霊だけの問題でなく､人間という恐ろしい生き物もウヨウヨいるんだ

伊地知さんにスマホを向けてメッセージの画面を見せる

「どうしますか…？」

オズオズと困ったように訊ねる伊地知さん

"今どこにいる？"

メッセージを送ってみるが､なかなか既読はつかない

その時､ポツ…と自分の頭に水滴が落ちてきた

…雨だ

「…いくら ツナマヨ」

探しに行こう

そんな遠くには行っていないはずだ

「探しに行くんでしたら､私も…」

「おかか」

自分は1人で探しに行く､という意思を伝えるため両手の人差し指でバッテンを作る

「ツナツナ」

そう言って伊地知さんには休んでいるように身振り手振りで伝えた

「…分かりました ですが雨も降ってきましたし…確かビニール傘が後部座席の下に…良かった 1本だけありました」

伊地知さんからビニール傘を受け取り､パッと開く

自分は段々と勢いが強くなっていく雨の中､元来た道を戻って走り出した

殺すか祓うか→←無駄な意思

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