太宰治が入水をする理由。

<入水 １８> ページ19

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｢森さーん、太宰さんに追い出されちゃいましたぁー｣




扉を開け、浮かない顔で入ってくるA君




｢君は相変わらずだねぇ
ノックをし給え｣




｢しかも約束破っちゃったし...
怒ると怖いんだよね｣




｢おや、それは大変だ｣




若干話が噛み合って無いような気もするが、
私には気遣わなくても善い、この時間がとても楽で善い





────不意に、彼女が辺りを見回し、不思議そうに首を傾げる





｢エリスちゃんは如何したんですか？
アナタと、一緒に居ないなんて...前代未聞の問題ですね｣




｢そうなんだ！聞いてくれ！
エリスちゃんが中原君の重力で遊びたいと云ってね...
私も着いて行くと云ったんだが、｣




｢ふふ、振られちゃったんだ
私と一緒ですね！｣




可笑しそうにくすくす笑う彼女




｢そっかぁ...エリスちゃん中也の処に居るんだ
だったら私も其方に行こうかな｣



｢酷い！私は行けないのに...｣



冗談ですよー、と口許を緩ませながら云う彼女




そんな彼女の表情を見ていたら
あの日の事を思い出した








｢そう云えば、いい加減
『 計画 』の事を話してくれないかね？｣




｢わ、覚えてたんですね
...未だ話す時じゃ無いんですよ


全て終わってから、のお楽しみです｣




未だ焦らすか...



さっきとは違い、少し怪しい笑みを浮かべる


相変わらず、食えない少女だ





｢終わってからだと...何か君が消えてしまう様な気がしてね｣



｢.....本当鋭い



苦手なの、物凄く


ああ云う食えない所とか


読めない所



何時も私の思考の斜め上を行く




でも、最近調子が善いんです



段々、ゆっくりだけど確実に
私の計画通りになってきている





...その分、何だか胸が痛いんですけどね｣






狂った様に、だが哀しそうに
胸を自身の手で抑えながら、静かに微笑むA君





少なくとも、私の事を云っている様では無いみたいだ





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