黒バス 短編集 【オレンジ】

【お前の為に】 高尾和成 美咲sリク ページ5

生まれつき、心臓が弱かった。

歳が重なっていく度に、日に日に弱くなっていって…。

大好きなバスケも出来なくなって、ただ蒼い空を眺めるしか出来なくなった。


今日は、木曜日。もう少しで時計の針は４時を指す。

「よー、A。」

そこへ病室の扉を開けて入ってきたのは、制服姿の和君。

「いらっしゃい。今日も４時ぴったりだね。」

幼馴染の和君は、私が入院してから、毎週火曜日と木曜日に訪れてくれるようになった。

「部活はどう…？マネージャーがこんなのでごめんね？」

悄気ている私の頭を和君は、くしゃくしゃに撫でる。

「心配すんなって。どうせ１ヶ月だろ？風邪拗らして、入院とか面白すぎんだろ。」

「面白くなんてないよ！」

風邪を拗らせて、入院する程私の身体は弱くなってる。

怖い…いつか、動けなくなるんじゃないかって。

「でもさ、あと２週間もAが居ねぇとか無理だわ。」

気付くと、和君の顔はすぐ目の前にあって、

和君の唇と私の唇が優しく柔らかく触れていた。

「か、和君！////」

「２週間も俺を寂しくさせた罰。病院じゃ、イチャイチャ出来ねぇし。」

イチャイチャって…///

和君は、はぁ、と深い溜め息を吐いてまた私を見る。

「勝利の女神が居ないと、やる気出ねぇんだよ。」


お前の為に

勝って、勝って、勝ち続けて、笑顔でいさせてやる。


(勝利の女神って…私、そんな存在じゃ)

(俺にとってはそーなの。)


(ずっと、昔からな？)

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