黒バス 短編集 【オレンジ】

【初恋】 高尾和成 焔sリク ページ12

俺の初恋はいつだっただろう？

思えば、高１にして初恋と呼べる恋はまだ。

付き合ったことがないとかそんなんじゃなくて、

本気でこいつと居たいとか、思えなかったんだ。


ハードすぎる練習も終了して、今日は真ちゃんの自主練に付き合わずに

さっさと帰って、寝ようかと大体の予定を頭の中で組んでいた。

更衣室から一歩出ると、もう外は真っ暗だ。

「あっちゃー。本屋にでも寄っていくかと思ってたのにさ〜。」

今日は月バスの発売日だったのに。

俺の脳内予定から、本屋が消えた。

「…ゃょ！」

その時、更衣室横の演劇部の部室から、女の子の声が聞こえる。

普段、この時間はバスケ部以外は下校してる。

俺はごくりと喉を鳴らして、恐る恐る部室の扉を開いた。

『嫌です。それでも、私は貴方を愛し続けます。』

部室の中央で、台本を片手に１人の演劇少女は涙ぐみながら台詞を綴る。

『貴方がもし他の御方を愛されても私は…』

演劇少女は、俺が居ることに気付かず、演技を続ける。

その声が、その顔が、その仕草が、俺の心を奪って行く。

「やべ…。俺、こいつと居たいわ。」

いつの間にか、俺は想いを口にしていたみたいで、

彼女は、やっと俺に気付き着替えでも見られたように頬を真っ赤に染めた。

「い、何時から居たんですかぁぁ！///」


初恋

見つけたのは、“彼女”を演じる彼女。


(…名前は？)

(…は？如月Aですけど…？)

(A、お前気に入った。ってか、惚れた！)

(は、はい？///)

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