第29話 ページ16
「人は焦れば焦るほど、簡単なミスをしやすくなるものよ。イタチ、焦らなくていいのよ?ゆっくりにとは言わない。貴方が叶えたい夢のために、しっかり道を歩みなさい」
姉さんとの思い出。
姉さんは、俺のことをちゃんと見てくれていて、魔法の言葉を言ってくれた。
その魔法の言葉一つ一つは、俺にとって支えとなった。
だからこそ、俺は上忍になり、今も木ノ葉の里を守っている。
イ「そうですか...」
綱「何となく、気づいていたのか?」
イ「はい。姉さんは、一度決めたことは行動に移す人なので...いつか、こうなるだろうとは思っていました」
綱「そうか...今日はもう戻っていいぞ」
イ「はい」
綱「イタチ、お前は少し休め。最近ずっと働いてくれていたしな...それに、気持ちを整理したいだろう?」
イ「!お気遣い、感謝します」
俺はそう言って、火影室を退出した。
__イタチとサスケの家
ガチャン
俺は、自分の家の扉を閉めた。
そして____
バタン
その場に膝と手を着いた。
イ「...っ。姉、さんっ...」
俺は涙を流した。
もう、あの暖かくて優しい手で、頭を撫でてもらえない。
俺を支えてくれる、魔法の言葉を言ってもらえない。
そう思うだけで、胸が締め付けられ、涙が溢れてくる。
イ「姉さん...。もっと、頭を撫でて欲しかった。もっと、魔法の言葉を言って欲しかった。もっと、もっと__」
そう思っていると____
「イタチ。ごめんね?」
イ「!」
その声を聞いた瞬間、俺の意識は遠退いた。
__イタチの精神世界
イ「...。此処は、俺の精神世界?」
「__イタチ」
イ「!まさか、この声は__」
俺が今、会いたくてたまらない、大好きなあの人の声だ。
ノ「イタチ。ごめんね?勝手に死んじゃって...」
イ「姉さん!!!」
ギュ
俺は姉さんに、勢いよく抱きついた。
姉さんは、ちゃんと俺を受け止めて、俺の背中に腕を回して、抱きしめてくれる。
イ「姉さん...。会いたかった、会いたかった...!」
俺はギュと抱きしめて、涙を流しながら姉さんに言った。
ナデナデナデ
姉さんは、俺の頭を優しく撫でてくれる。
__嗚呼。
やっぱり姉さんの手は、暖かくて優しい。
俺の、大好きな手だ。
......
俺はしばらく、姉さんと話をした。
里であったことや、小さい頃の思い出など。
まるで、あの頃に戻ったかのような錯覚に陥った。
ノ「イタチ。何故私が貴方の精神世界にいるのか、教えておくわ」
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作者名:紅暁武 | 作成日時:2018年1月30日 15時