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「ごめん」
しばらくの沈黙の後、そうヘイデンは言った。同時にもう一度、手をぎゅうと握られた。あたたかくて、力強い手。腰を支え、立ち上がるのを手伝った彼は、ライノアの頬に伝ったその涙を拭ってから、じっと目を見た。
「やっぱり中で遊ぼう。おれと一緒に」
なあ、ヴェル。
そう呼ばれて、ぎゅっと抱きしめられてから。胸の高鳴りは呼吸の荒さ、心の震えは肺の悲鳴だと、気づいた。でも、手遅れだった。
これが、恋だ。ぼくは、きみのことが好きなんだ。
そう結論づけるまで、時間はかからなかった。
大人たちに怒られる時も、へんなものを見つける時も、勿論お話をする時も、ずっと一緒だった。僕の震える心臓は、きみと一緒にいるためにあるんじゃないかと思ったことも、一度や二度ではない。
そう、確かに。あの時までは、そうだったんだ。
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