検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:1,220 hit

【柘榴】御影 灯芽の場合 ページ3

「きゃあああぁあ!!」
「うわぁあああぁ!!」

いつの間にやら出来出した人垣が叫ぶ。
一般人と言えどさすがに囲まれるのはまずいか、とまた大きく舌打ちをして身を翻した。

「逃がさんぞこの獣めがぁああ!!」

バタバタと追いかけて来ようとする黒服に振り向きざま、銃弾を乱発。
多少静かにしたところで、アジトに向け戦略的撤退だ。
そう、これは逃げではなく、戦略的撤退である。
誰があんな糞どもに背を向けて逃走するかってんだ、と誰に言うでもなく悪態をつきながら路地裏に飛び込んだサンは、視界に人型の生き物を捉えた。

進行方向にいたのは少女だった。黒い髪、大きく見開かれた青い目、頬には黒い鱗……。
すわ人間か、叫びだすかとよくよく観察してみれば、どうやら自分の同族のようだ。
鱗がアクセサリーである可能性を考えて一応、呼びかけてみる。

「おーい、お前獣忌か?」

少女は首を傾げると、自身の体に巻きつけていた蛇――うわっ、そのおっきいの本物かよ、と慄くサン――に何やら話しかけている。
そして、サンの方に向き直るとコクンと頷いた。

正真正銘自分の同族であることを確認して、満足げに頷いたサンは

「くそがっ、あの薄汚い害獣はどこに行った!!」

との声に、はっと我に返った。

そういや俺、逃げてるとちゅ……ゲフンゲフン、戦略的撤退の途中だったわ、と思いながら、がしっと少女の襟首をひっつかんだ。

このままここにいたらこの少女まで捕まってしまう。

と、サンは全力で少女を引きずって、森の奥へと駆け出した。

【柘榴】御影 灯芽の場合→←【柘榴】御影 灯芽の場合



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 0.0/10 (0 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1人がお気に入り
設定タグ:自由への旅路 , 企画小説 , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:氷渡ミオ | 作成日時:2018年3月13日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。