#183【既知の悲恋】 ページ1
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ジャンside
目の前には涙目で無理に笑顔を作っているミラさん。
俺を心配させないためか、それとも精一杯の強がりか。
ずっとミラさんを見てきた。
だからこそ、すぐにわかってしまった。
ミラさんが兵長のことを好きだということ。
その異変に気づいたのは奪還前夜祝いをしていた時、食堂で2人が会話している姿を見た時だった。
普通にしてるつもりだったんだろうが、ミラさんの兵長を見る目は今までと違って見えた。
…好きな人の好きな人なんて、知りたくねぇよな…
俺はその日から兵長と話すミラさんの姿を敢えて見ないようにした。
遠ざけていた。
だがそれ以上に切ないくらい作り笑顔をする今のミラさんは見れたもんじゃねぇ…
きっと、さっきまで壁上で兵長と口論していたのは…
俺の中で何となくの想像はできた。
少し腫れた目でいる彼女を一人にする気にはなれず、まだ酒も飲めた口じゃねぇがそのまま近くの酒場へと入った。
酒場に入って一時間…
酒を飲み続けているミラさん。
目が虚で、顔も赤い…
明らかに酔っている。
あんなことがあった後で、ヤケ酒…というやつだろう。
まぁ無理もねぇな…
そんなミラさんをチラチラと見る野朗共。
そして、俯いているミラさんに向かって…
「おいおい姉ちゃん、どうしたんだ？
そんな可愛い顔して泣いて、俺が慰めてやるよ」
肩に手を回す野郎達。
俺が若い新兵だと思って舐め腐りやがって…
ジ「おい」
立ち上がり、俺に「あぁ？」と睨みを効かしてくる。
だが…
バシッ…
あ「お生憎、あんた達みたいな小物に私はもったいないから。
ジャン行こう」
「え…」
ジ「あ、ちょッ…ミラさん…！」
手を振り解き去っていくミラさんに唖然とする酒場の連中共。
…か、かっけぇ……
酔いのせいもあるのか、らしくないことをサラリと言ってのけるミラさんに新鮮でドキリとする。
地下街出身なだけあって、柄の悪い連中の遇らい方を熟知しているようだった。
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【現在公開可能な情報(人類最強の幼馴染ver)】
#82のように貴族の男性に逆らえば罰が重い為抵抗できないミラだが、柄の悪い連中にはとことん強気で遇らう術を身に付けている調査兵団兵士副長。
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作者名：koi | 作成日時：2023年7月3日 10時
