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その時だ。
在全が懐から何かを取り出しAの足元に放った。
チャリン、と金属特有のあの高い音が鳴ったので何かは大体予想がついていたが、Aはそれを拾いあげた。
「十円……」
「わしがそれでお前を買おう、A」
買う?
Aは眉をひそめた。
「今、御前はいずれ自身を継ぐのにふさわしい逸材をお探し中なの。
そして今夜から開かれる後継者決めのゲームの参加者の一人になれ、と貴女に仰っているのよ」
「いや私は結構なので」
「お前は先程、わしが出した十円を拾った。
ーーその時点で既にお前はわしに買われたも同然だ」
「っ、そんなの……!」
「もうお前に拒否権は無いぞ、A」
「ご家族や学校側への説明はこちらで済ませておくから心配は無用よ。
さあ、早速向かいましょう?」
峰子がそう言うと、黒服の男がAの腕を引き車に連れて行こうとする。
が、Aはその手を振り払った。
「……別に一人でも乗れますから」
あら、と峰子は呟く。
「随分急に乗り気になったわね?」
「逃げられないと思うので諦めました。抵抗し続けても、最終的には拉致られるのがオチでしょうし」
数分前の彼女は悔しげに顔を歪めていたというのに、今はもう平然と自ら車に乗り込もうとしている。
「変わった子ですわね、御前」
「だが……これは期待できそうだ」
Aの後ろ姿を二人は静かに見つめていた。
ー$ー
「あの、一つだけ良いですか」
「何かしら?」
重苦しい雰囲気の車内で、Aは静かに自身の隣に座る峰子に話しかけた。
「出来れば服を着替えたいのですが」
「ああ、制服が汚れてしまうかもしれないものね」
「いえ、そうでは無くて……
学生だと知られたら周りからナメられそうで」
峰子はキョトンとしたが、すぐに声をあげて笑い始めた。
「A!ホント貴女は面白いわね!
良いわ、服はこちらで手配しましょう」
「欲を言えば地味で露出の少ない格好が良いです」
それだけ言うとAは誰にも聞こえぬよう、小さく溜息を吐いた。
こうして彼女は非日常の世界に迷い込んでいく。
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*小町A*
・某私立高校に通う三年生。成績優秀。何でもこなす天才肌でクラスメイトからは近寄りがたいと思われており学校では常に一人だったが……
・常識人でクールだが顔に出やすい。
・綺麗系美少女。
STAGE:0.5【魔女】→←STAGE:00【非日常に迷い込む】
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マカロン(プロフ) - ナッツピさん» 返信が遅れてしまい申し訳ありません。確認したところオリジナルフラグは付いていませんでした。もし今後も続くようでしたらお手数ですが教えて頂けると助かります。 (2019年4月27日 21時) (レス) id: c48da97d00 (このIDを非表示/違反報告)
ナッツピ - オリジナルになってます編集画面の下の方に書いてあるので外してください (2019年4月4日 21時) (レス) id: a274a13ed0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マカロン | 作成日時:2018年9月29日 7時