40話「呟いて」〜晴久side〜 ページ41
「――――好きだ、月影」
思わずこの言葉が出てしまった。
(な、何声に出してんだ、俺!!)
心の中だけで言うはずだった筈が、なぜか口に出ていた。
「まあ、まだ月影は目を覚ましていねえ……。聞かれてはいねえはずだ」
月影が目を覚ましていたら、俺はどうなったいたことか……。
考えただけで寒気が走る。
――――と、その時だった。
「ん……」
まさか……!!
「あれ……?ここは……?」
月影の奴、目を覚ましやがった!!
「月影……!?」
「ん……?あ、尼子!?」
月影は俺の顔を見た瞬間、飛び起き、後ろに二、三歩引き下がった。
「何であんたがいるんだ、尼子!!」
「い、いや。これは、晴……桜水に頼まれてだな」
月影はかなりの剣幕で食って掛かってきた。
「A様〜!!」
晴音が丁度いい時に入ってきたので助かった。
「良かったです、A様〜!!」
晴音は涙目で月影に抱きついた。
「悪かったわよ、晴音」
「みんな心配してたんですからね!私も、他の兵士も、兄……尼子も!!」
「尼子が……?」
月影が俺の方向を見る。さっき、あんなことを呟いちまったからか、何か緊張する。
「兄上、その間に想い人まで作っちゃったみたいですし。A様も丁度いいのでは?」
晴音はご機嫌で部屋を出た。
「は、はあ……?晴音、何言ってんだろ……。それより、あんたの想い人って何?尼子」
そこはやっぱり言われるか……。ここは一か八か……。
「尼子……?」
目の前には月影の顔。無意識に俺は、月影を壁に押しやっていた。
「俺の想い人……。それは、お前だ。月影A」
2人がお気に入り
「アニメ」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ