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10話「月夜の不審者」 ページ11

「あ〜、今日は月が綺麗だわ……」

今日は驚くくらい月が綺麗だ。真っ黒な夜空に光り輝いている。


「……ん?」

今、塀の外で音がした。動物かな?

……違う。微かに声がする。


「誰だ!」

私は傘を構えた。


「風来……」
「待て!」

この声……まただ。あの憎たらしい声。


「またお前か、尼子晴久!!」


「んで?何でここにいたわけ、あんたは。私をつけ回してるの?」
「そんなわけねえだろう。お前をつけ回すなら、猫をつけ回した方がよっぽどいいさ」

私はあんたにとって、その辺の猫以下なのか。


「鹿之助くん、探してたよ。朝から」
「鹿之助……か」

「昨夜からずっといないって大騒ぎしてさ」
「何せ、俺もついさっき逃れたんだ」

逃れた……?何かに追われてたのかな、こいつ。


「……毛利の野郎だ」
「毛利!?」

毛利元就って、私の大っ嫌いなあの毛利元就?いや、そいつしかいないけど。

「毛利の野郎、頭がおかしくなっていたようでな、『我が名はサンデー毛利!』とか言って」
「サ、サンデー毛利……」

思わず吹き出してしまった。
だって、本当に面白いし。尼子も若干笑ってるし。


「それで、薬か何かを嗅がされたみたいだ……その後の記憶はねえ。ただ、何処かに運ばれる、ってことはわかった」
「それでそこを逃げ出してきたと?」
「ああ」

なるほどね。ていうか、サンデー毛利……。いや、待って。

そんなような名前を誰彼構わずつける奴がいたような……。


「大友……宗麟……」
「大友!?ザビー教か!」

その瞬間、尼子の顔色が変わった。


「まさか、俺はそこに連れていかれそうだったんじゃ……」
「そうかもね」

「に、逃げ出してよかったぜ……」

私も入りたくないからね、あんな所。尼子が青ざめる気持ちもわかる。


「月影。お前に頼みがある」
「――――――頼み?」


「俺をここに匿ってくれねえか?」
「……は?」

俺を……匿ってくれ……だと……?

つまりは……

尼子をこの城に住ませるってことか!

11話「無理難題」→←9話「尼子晴久の行方」



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作者名:桃犬(晴☆晴) | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2014年5月24日 10時

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