検索窓
今日:31 hit、昨日:51 hit、合計:64,080 hit

15 ページ15

「おやすみなさいませ」
「うん、おやすみ。」

挨拶をして自分の部屋へと引っ込む。

はあ…今日は初めて雑渡様と夕食を共にできたわ。雑炊、お気に召してくださるかしら

なんてことをつらつらと考えている間に、私の意識は闇の中へと消えていった。




翌朝。

きゅっと簪で髪の毛を纏め上げる。

この翡翠の玉簪はお父様がお母様に祝言の際に贈ったもので、亡きお母様とお父様の唯一の形見だった。

城が燃え盛る中、お母様がそっと挿してくださった、この世に一本しかない私の宝物。

そっと翡翠に触れる。

それは、今も昔も変わらず艶やかな光を放っていた。

朝、台所を覗くと雑炊の入った竹筒はすでに無く、雑渡様もいなくなっていた。

カラカラと戸を引き、表へ出る。

なつさんとの集合場所へつくと、すでになつさんが風呂敷を持って待っていた。

「ごめんなさいなつさん、おまたせしました。」
「いいのよ、ぜーんぜんまってないから。」

二人連れだって歩いていると、向こうから一人の女性が3歳くらいの男の子と手を繋いで歩いてきた。

「初ちゃーん」
「なつさん!…と、もしかして、そちらの方は…」
「そうそう、噂のお姫様よ!」
「最近里に参りました、Aと申します。」
「あらあああ!!あの、お姫様の?!」
「いえ、今はもう姫ではありませんので、Aと呼んでくださいませ。」
「すごくいい子なのよー!!」
「ええ、ええ!噂には聞いていたけれど、ほんとに綺麗な子ねえ!私、昨日はなつさんのうちに行けなかったからAちゃんと話すのは初めてなの!」
「ええと…」
「あ、ごめんなさいね、私は諸泉初というの。この子は尊。今年で3歳よ。」

そう言うと初さんは尊くんを抱き上げた。

尊くんは見慣れない私が物珍しいようで、じっと見つめてくる。

「ふふ、こんにちは、尊くん。私はAというの。仲良くしてね。」

あまりの可愛さににっこり微笑めば、尊くんはにっこりと笑い返してくれた。

「ふふふ、とっても可愛らしい子ですね。」
「そうでしょう?尊もAちゃんの事が好きになったみたいね。…ごめんね、引き止めちゃったみたいで。Aちゃん、なつさんも一緒に今度お茶でもしましょ。」
「ええ、ぜひ。」
「じゃあね、初ちゃん。」

初さんと別れ、再びなつさんとあるき出す。

子供といえば…お義父さまのお屋敷であった左助くん、あれ以来見かけないわねえ。どこにいるのかしら。

左助くんのことを、ふと思い出した。

16→←14



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (141 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
242人がお気に入り
設定タグ:忍たま , 雑渡昆奈門 , タソガレドキ   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ゆき - ハナイツキさん» 今までお付き合いいただき、本当にありがとうございました!最初の方から何度もコメントを頂いて、本当に励みになりました!感謝の言葉しかございません。さらなるいちゃらぶを目指しますので、続編もよろしくお願いいたします! (2023年5月2日 23時) (レス) id: 11850f2a40 (このIDを非表示/違反報告)
ハナイツキ - 完結お疲れ様です!本ッッッッ当に大好きな小説です!もう雑渡さんにキュンキュンしまくりで、最後の結婚のくだりでは涙ぐみながら読むくらい、、続編も読ませていただきます!雑渡さんとのいちゃラブ生活のご提供、本当にありがとうございました!!! (2023年5月1日 23時) (レス) @page50 id: a0586360be (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - ミリリン(・ω・)さん» 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。続編も書こうと思っておりますので、気長にお待ちいただければと思います。続編もよろしくお願いいたします! (2023年3月28日 23時) (レス) id: 11850f2a40 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - astrumさん» 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!続編については、書いてみようかなと思っております。続編の方も、よろしくお願いいたします。雑渡さんとのいちゃらぶ生活…頑張ります笑 (2023年3月28日 23時) (レス) id: 11850f2a40 (このIDを非表示/違反報告)
ミリリン(・ω・) - え?好きです。 ヤバイですね むっちゃ面白かったです! 続編出たら絶対読みます。 気長に待っています! お疲れ様でした! 素敵な作品をありがとうございました! (2023年3月28日 21時) (レス) @page50 id: 5a9db1aae6 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ゆき | 作成日時:2022年1月30日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。