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「なにか手伝うことあるかい?」
「それでしたら、お味噌汁とご飯を運んでいただけますか?」
「お膳、一つしかないけど。君食べないの?」
「後でいただこうかと…」
「一人で食べても美味しくないでしょ。」
「ふふ、それならご一緒させていただきます。」
二人分のお膳を運び、二人で囲炉裏を囲んで座る。
「頂きます。」
「頂きます。…すごいね、こんな豪華なご飯久しぶりに食べたかも。」
「お口に合えばいいのですけど…」
「…ん、美味しい。」
「良かったです。」
「3日間不便なこととかなかった?」
「いいえ、大丈夫です。今日も奥様方に良くしていただきましたから。」
今日あったことを掻い摘んで話す。
雑渡様はうんうんと飽きもせずに私の話をよく聞いてくださった。
「今日お話したのは狼隊の奥様方だけだったのですけど、他の隊の奥方様たちも紹介するとなつさんが言ってくださいました。」
「陣内の奥さんか。あの人、面倒見いいからね。」
「なつさんといえば…明日麓の町までお買い物に誘ってくださったんです。…里の外に出ることになってしまいますし、行かないほうが良いのでしょうか。」
「いや、そこは私が話を通しておくよ。」
「まあ、ありがとうございます。」
「お金はそこにあるから使うといいよ。」
雑渡様が指差す先を見ると、立派な箱が置いてあった。
あの箱、雑渡様の大切なものかと思って触らないようにしていたけれど…お金だったのね。
「ありがとうございます。明日はお帰りになりますか?」
「いや、帰ってこないと思う。」
「そうですか…では、ご飯はどうなさるのですか?」
「…適当にすますよ」
「もう、そんなことではお体を壊しますよ!」
「…今までもそうしてきたし…」
「忙しいからこそ食事はきちんと取らないといけません!…あ、そうだわ。」
お膳の前から立ち上がり、ゴソゴソと台所を探る。
「雑渡様、これなら忙しい時でも食べられますよ。」
雑渡様の目の前に、取り出したものをぐいっと押し付ける。
「竹筒?」
「はい。ここに雑炊を入れておけば片手でも食べられますし、ぴったりではありませんか。」
「でもそこまでしてもらうのも」
「させてくださいませ。私は雑渡様の許嫁です。未来の旦那様の体調を気にするのは当然です。」
「…じゃあお言葉に甘えて」
やっと雑渡様が折れてくださったので、ほっとする。
ご飯を食べ終え、残ったお味噌汁を使って雑炊を作っていると、雑渡様がお皿を洗うのを手伝ってくださった。
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ゆき - ハナイツキさん» 今までお付き合いいただき、本当にありがとうございました!最初の方から何度もコメントを頂いて、本当に励みになりました!感謝の言葉しかございません。さらなるいちゃらぶを目指しますので、続編もよろしくお願いいたします! (2023年5月2日 23時) (レス) id: 11850f2a40 (このIDを非表示/違反報告)
ハナイツキ - 完結お疲れ様です!本ッッッッ当に大好きな小説です!もう雑渡さんにキュンキュンしまくりで、最後の結婚のくだりでは涙ぐみながら読むくらい、、続編も読ませていただきます!雑渡さんとのいちゃラブ生活のご提供、本当にありがとうございました!!! (2023年5月1日 23時) (レス) @page50 id: a0586360be (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - ミリリン(・ω・)さん» 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。続編も書こうと思っておりますので、気長にお待ちいただければと思います。続編もよろしくお願いいたします! (2023年3月28日 23時) (レス) id: 11850f2a40 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - astrumさん» 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!続編については、書いてみようかなと思っております。続編の方も、よろしくお願いいたします。雑渡さんとのいちゃらぶ生活…頑張ります笑 (2023年3月28日 23時) (レス) id: 11850f2a40 (このIDを非表示/違反報告)
ミリリン(・ω・) - え?好きです。 ヤバイですね むっちゃ面白かったです! 続編出たら絶対読みます。 気長に待っています! お疲れ様でした! 素敵な作品をありがとうございました! (2023年3月28日 21時) (レス) @page50 id: 5a9db1aae6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆき | 作成日時:2022年1月30日 0時