子供の成長なんて一瞬 ページ4
本題に入る。
幼児退行してしまう怪しい飴は見知らぬ男から受け取ったもので、甘いものが好きな迦葉に渡した、と。
後からパッケージを読み返してその正体に気付いたらしい。
幼児退行の効果は1日程度。体質による個人差がある。
いつ食べたのかわからないが、まだ1日も経っていないのは確かだ。
「俺達はそろそろ行く。…迦葉、最後に小太郎お兄ちゃん、と呼んでみないか？」
「お前それが目的で渡したんじゃないだろうな…」
きょとんとした顔でヅラを見ている。
『…小太郎、お兄ちゃん？』
それを聞いた途端、ヅラの鼻から赤いものが垂れた。
「…銀時、俺はやはり迦葉と血の繋がった兄弟だった気がする。」
「嘘ついてんじゃねェ丸わかりなんだよ！さっさと帰れ！」
「じゃあまだしばらくはこのままってことですか…」
定春と遊ぶ迦葉を眺める。
「ヅラ、羨ましいアル。私も神楽お姉ちゃんって呼ばせたいアル。」
「オイ、迦葉で遊ぶなよ。…しょうがねェ、戻るまで気長に待つか…」
「そうですね…もう時間も時間ですし、そろそろ夕飯にしませんか。」
夕飯、と聞いて迦葉が近寄ってきた。
『えっ…と…しん…ぱち、がご飯、作る？おれ、手伝う…』
松陽に育てられた俺達だが、なんせあいつの料理がとんでもないので次第に迦葉も手伝うようになっていった。料理が上手いのはそのおかげ。
「僕の名前…！」
「眼鏡の癖に！迦葉！ほら、神楽！神楽お姉ちゃんアルヨ！」
『…か、ぐら…お姉ちゃん…』
誇らしげな様子で俺を見る2人。
「…ほら、迦葉。銀大好き、って言ってみな。」
そう言うと俺に抱き着いてきた。色違いの目に俺を映す。
『…あは、銀、大好き。』
口元をゆるめ、楽しそうに笑っている。顔が熱い。
『…？銀、顔真っ赤。どうしよう、病気…？』
「銀ちゃんは恋の病にかかってるアル…」
「自分で言わせたくせに…」
「…うるせェ。」
夕飯と風呂を済ませる。
一緒に寝たいと騒ぐので、布団を3つ並べた。
迦葉は俺と同じ布団。
2人はとっくに眠りについて、こいつももうすぐ夢の中。
眠たげな目で俺を見る。
『銀、また明日もおれといてくれる…？』
「当たり前だ。明日どころか、明後日も明明後日も、腰が曲がっても、来世でも。俺ァいつまでも迦葉のそばにいてやる。だから安心して眠りな。」
『…ありがと。』
手を握って、互いに眠った。
『…なんでこんな仲良く寝てんのおれら。』
天は人の上に人をつくらず髷をつくりました→←子供の成長なんて一瞬
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作者名：逆叉 | 作成日時：2024年3月28日 22時
