捕ラエラレタ蝶 ページ33
もう逃げられない
いや、出会った時から逃げる事なんて出来なかったんだ
僕は蝶のように捕らえられてしまった
一度嵌ったら二度と抜け出す事ができない“蜘蛛の巣”に
もがけばもがくほど糸が絡みつき
だけどそんな不自由の方が居心地がいいかもしれない
人間に支配され全てを捧げる喰種というもの悪くはない
むしろ気分がいい
だから僕は素直に君達の“
貴女「仰せのままに」
倒れているから跪くことはできないが、代わりに団長の首に両手をまわし小さく微笑む
そしてどちらからともなく目を瞑り唇を合わせる
それはまるで誓いの口づけのように。
２人を囲っていた幾多の“緋の目”がそれを見守っていた
この時僕は知らなかった
団長のポケットに入っていた携帯が通話状態でその繋がっている先がシャルの携帯だということ
そして僕たちの会話を聞いていた蜘蛛のメンバーが不敵な笑みを浮かべていたのを
クロロ「これをAに渡す」
僕の上から退き更に僕を起こしてくれた団長がそう言って渡してきたのは、今日盗った“クルタの義眼”だった
いつの間にか首から下げられる様に鎖がついている
貴女「…理由を聞いても？」
クロロ「なんとなく、だ。」
貴女「そうですか…。」
直感的にその理由は嘘なのだと感じた
何かを隠している。そんな気がするんだよね
貴女(さて、何を隠しているのやら)
クロロ「これは常に首から下げておけ。」
僕の手の上にあった“クルタの義眼”を取り僕の背後へとまわればそれを着けてくれた
着ける時チャリｯと鎖が音を奏でると刹那に「あぁ…これは“首輪”なんだ」と先程まで感じていた疑問の靄が晴れるように確信できた
貴女「…分かりました。」
そう返事を返せば首元に冷たい何かが当てられる
その正体はどこからか出した不思議な形状をしている中型のナイフ
クロロ「A自らが取り外すことは許さない。もし外したら“蜘蛛”への裏切りとみなしお前を“殺す”いいな？」
耳元で彼がそう囁いた
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作者名：アメ太 | 作成日時：2017年11月16日 11時
